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【腐】Happy Whiteday
その1
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「誰かいませんかー!」
「この時間は人が通らねぇんだよな…」
家庭科室に閉じ込められて数時間。
土曜日のせいか誰も来る様子がなく、俺たちは途方に暮れていた。
「何か方法ありませんかね…」
「今何時だ…?」
腕時計を見ると18時を過ぎている。
(もう少ししたら戸締りチェックのために警備員が各教室を回るから、最悪そんときに見つけてもらうしかねぇな…)
「あのさ」
菊に伝えようとした時、ふとあるものが目に留まる。
「なんでこんなに切り花があんだ?」
夕陽が差していた間は気付かなかったが、手元には薄い黄色の花がいくつも散らばっていた。
「ああそれ、授業であまったやつです」
ドアに向かっていた菊は、振りむきざたにそう言う。
「えらいたくさん、あまったんだな」
「皆さんが自由な発想でアレンジできるように、多目に用意したのです。そうそう、さっきあまったお花で、美術のフェリシアーノ先生にミニブーケをあげたんですよ」
「フェリシアーノ先生に? 何で?」
「ほら、ホワ…」
菊はハッとしたように言葉を切り、慌てて口を押さえる。
「そ、その…お兄さんのプレゼントにどうでしょうかって。ほら、お誕生日もうすぐですし」
「……」
(いま完全に『ホワイトデー』って言おうとしたよな。そして菊は、俺に気を遣ってそれを言わないようにしてる…ということは、冷蔵庫の奥に隠しておいた、俺様の力作ビーフシチューは見つかってないわけだ…)
内心ホッとしつつ、なんだか笑いそうになってしまう。
(菊のヤツ、口を押さえてやがった。嘘つくの下手過ぎんだろ…)
ついおかしくなってしまった俺は、掘り下げてつついてみようと思った。
「ホワ…なんだって?」
「え?」
「今『ホワ…』つったろ」
「い、言ってませんよ」
「いや、確かに聞いた」
「……」
「言ったよな?」
「それは…」
(…待てよ。今ホワイトデーのことを話題にしたら、俺からのサプライズ感が薄まっちまう。ちっ、追求したのは失敗だったぜ…)
「やっぱりフェリシアーノ先生と仲いいんだな…」
「え?」
「ミニブーケあげたんだろ?」
「ですからお兄さんに…」
「何で?」
「それはホ…」
また菊がハッとしたように口をつぐむ。
「会話がループしています…!」
(あせった顔もかわいいな…。しっかし俺様、根っからのいじめっ子だよな)
好きな子をいじめたくなる自分を戒め、話題を変えることに。
「それにしても綺麗な花だなー」
俺が切り花の方を見ると、背後で菊がため息をついた。
「呑気なこと言ってる場合じゃないですよ。私たち、ちゃんと見つけてもらえるんでしょうか」
菊にしては珍しく、不の感情が声に表れていた。
「講師に来てまさかこんなことになるなんて、夢にも思いませんでした…」
(ま
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