暁 〜小説投稿サイト〜
FOOLのアルカニスト
悪魔合体
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
錬や己に対する仕打ちを見る限り、甘いなどとは到底認めがたいものがあるのだ。

 「うむ、わざわざ媒体まで用意してな。しかも、私特性のコスト度外視の最高級品だ。性能は折り紙付きだ。代価もすでにもらっている。師に感謝することだ。現行のいかなるCOMMPにも劣ることのない一品だぞ。メアリ、あれを」

 何というか余りにも自分に都合のよすぎる展開に徹は慌てふためく。余りの厚遇ぶりに悪寒を感じずにはいられなかったからだ。なにせ雷鋼は、10歳児に自活しろと言った挙句、1億5千万円の借金を平然と背負わせる人物なのだ。裏に何があるかわかったものではなかった。

 そんな徹を余所に、現実は待ってくれない。ヴィクトルの声にどこらともなくメアリが姿を現し、その手に見覚えのあるものを徹に渡してくる。今や尋常ではない感覚を持つ己に何の気配も感じさせずに現れたメアリにも戦慄を隠せない徹であったが、それ以上に渡されたもの意外さに驚愕した。

 「P、PSP!これが俺のためのCOMP?!」

 「そうだ、つい最近発売されたもののようだな。とはいっても、中身は全くの別物だがな。外見上、幼いお前が持っていてもおかしくないものだし、大きさからいって携帯性も優れている。雷鋼なりの親心であろう」

 PSP、正式名称『プレイステーション・ポータブル』。水無月透真であった世界では、2004年の12月にSONYから発売された携帯ゲーム機だ。確かに、未だ肉体年齢的には幼いといってもいい徹にはもってこいのものであろう。外見的にも、彼が所持していても何ら不思議なものではないし、携帯性も優れている。徹のCOMPとしては、銃型のGUMPやアームターミナルなどよりうってつけの最高のものであるといえよう。しかし、さしもの徹もまさか携帯ゲーム機を渡されようとは夢にも思わない。いや、デビルサバイバーのものが、携帯ゲーム機であったことを考えれば、何ら不思議はないのかもしれないが。

 「まさかPSPとはね。というか何気にもう12月かよ?!季節感ないのは自覚してたけど、道理で肌寒いと思ったよ!」

 透真であった時、発売されて即購入しただけに、徹は発売された月を覚えていた。日々鍛錬漬けの日々を送っている徹にとって、季節感などあってなきが如しだったが、それにしても余りにも今更すぎる叫びであった。

 「何を驚いているかは知らぬが、さっさと認証を済ませるがいい。私も暇ではないのでな」

 急かすように向けられた紅の眼光を受けて、徹はいちもにもなく頷いて作業にとりかかる。とはいっても、やることは自身のMAGを用いてCOMPを起動するだけだ。それだけで、徹の生体マグネタイトが登録され、彼以外の起動及び使用を不可能にするのだ。

 「ふう、起動完了。これで認証も済みましたけど、今まで使ってい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ