春、新緑の頃、油断。
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私はこの前綺羅々にすすめられた本を読んでいた。
彼女の性格だけあって、なるほど…、って感じの本。
はあ…、と息をついて本を閉じると。
……、目の前にカルマの顔があった。
赤羽「面白かった?」
『綺羅々が勧めるだけあるよ。結構面白かった。』
赤羽「へーえ。』
すぐにそっぽを向かれた。
別に次の言葉に期待などなかったから、気にしない。
かなり時間に余裕があったので、今度は自分の読みたい本を読もうと思い、席を立った。
どうしようかな?
何を読もう?
なんて考えながらちょっと歩いて、目にとまったのは新撰組の本。
修学旅行で京都行くしね。
ちょうどいいかな?
席に戻った。
カルマはまだ隣にいる。
……、机の下で3DSやってるんですけども?
『おい、そこな少年。』
赤羽「んー? あ、マリオ死んだ」
全く話を聞いてないんですが?
『赤羽カルマ! DSどーにかしろーー!!』
耳元で怒鳴ってやる。 このコーナーは基本的に人気がないからね。
赤羽「ちょっと黙ってよカヲルー。 俺今忙しいし?」
そろそろイライラしてきた……。
ここはしっかり言って、ぜひ退出してもらおう。
両耳を持って、思いっきり引っ張り、頭ごと後ろに押し倒す。
『カルマ!そんなにスマブラやりたいんなら外に出ろ!』
赤羽「だからあ、黙れって。」
一瞬、目の前の二つの赤い眼球がピタリと止まり、こっちを向いた。
そして、まっすぐ睨まれる。
『え…?』
私の体から、急に力が抜ける。
と、その刹那。
『んっ!?』
その赤い眼球は私の目から数センチの距離まで迫り、
そのまま、私の口に何かが押し付けられた。
暖かい、ぬくもりのあるものが。
『か、カルマっ!?』
離されてすぐ、目を丸くする。
キス……、 られ、た?
赤羽「黙らせたかっただけ?」
は、はあああああ?
『それはこいびとどうしでやるもんだーー!』
私は顔を赤くしながら言いつける。
と、思ったら、また押し付けられる。
悔しい…、 嫌じゃない、とか思いそうな自分がいる。
『ばっかやろ!』
ダッシュで逃げる私が。
そこにいた。
『なんなの……、赤羽カルマ!』
嫌だ!
でも、唇のぬくもりは……、嫌?
ああもう!
ばっかじゃないの!?
私も、アイツも!
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