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リリなのinボクらの太陽サーガ
憑依
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いった。おぞましいプレッシャーが感じられるそいつに、愕然としたはやては思わず叫んだ。

「た、タ○リ神やぁー!!?」

はやての認識だとそういうものらしいが、おれから見るとこいつから魔力と同時に無数の死者の思念も感じられる。ジュエルシードを媒介にした【怨み神】とでも言うべきか。
怨み神は生者への怒りのままに突撃し、はやてを背負ったままのおれはどうにか横に大きく跳躍することで回避に成功する。しかし怨み神の進軍は止まらず、そのままの勢いで温泉街の方に向かっていった。

「街の方に向かっている。襲う気だ!」

「サバタ兄ちゃん! タ○リ神に手を出したらアカン! 呪いを貰うで!!」

そんな事を言われているが、はやてを背負ったままでは戦えない。ひとまずここに来るまでに通りかかった休憩所に彼女を降ろしてから、おれは怨み神が温泉街に突入する前に追いつくよう暗黒転移で先に飛んで待ち構える。

遠くの方で黄色と桜色の光が飛び交っている光景の中、山の入り口付近で待ち伏せていたおれの前に、目論見通りに怨み神は現れた。

「鎮まれ! 鎮まりたまえ! さぞかし名のある霊の主と見受けたが、なにゆえそのように荒ぶるのか!」

元の世界でおれは何度か幽霊の相手をした事があったが、世界が違うことで対応もこちら風にしており、念のため暗黒銃はいつでも抜けるようにホルダーの留め具は外している。
が、怨み神はなおも突撃を緩めず、その怒りのまま街を破壊しようとした。暗黒銃を使えば幽霊であろうと消滅させる事ができるから、被害を最小限に喰い止める意味ではすぐに撃った方がいいのだろう。しかし、曲がりなりにもあれは死者の心と魂の集合体だ。魔力で吸い寄せられているだけだと言うのに、消して終わりにするのは奴らがあまりに浮かばれん。かと言って放っておいたら重大な被害が発生してしまう。最も救いのある結末を望むならば……これしかない!

怨み神の進軍がとうとう街の中にまで達する直前、正面から立ち向かったおれは右手を怨み神の内部へぶち込む。巨大質量の突進を受け止めた事で地面が僅かに陥没し、触れた瞬間からずぶずぶっと湿り気のある音を発生させ、火傷の痛みを与えながらおれの身体を浸食しようとしてくる。既に宿っているダークマターに加えて死者の思念も残りの生命力を蝕んできているが、だからこそ対処できるのだ。

「うぉぉおおおおッ!!」

徐々に腕が沈み込んでいくにしたがって浸食箇所も拡大、ライフがその度合いに応じて減少していく。なおも足掻く怨み神の勢いも激しく、徐々に街の方へ押し込まれていった。
くっ……どこだ……! 小石程度の大きさの宝石だから見つけにくいが、それに手が届きさえすれば……!

まだ………後少し………ッ………捉えた!!

「今、解放してやる……あんこぉぉぉ
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