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リリなのinボクらの太陽サーガ
エピソード1・プロローグ
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よくやったな。ヴァナルガンドの石化に成功した今、世界は崩壊をまぬがれた。未来は守られたのだ。だがわたしたちには……その未来をおまえと共に歩むことはできない」

母を失い、父を失い、生き別れの兄を失い、迷惑もかけられたが憎めない弟分も失い、そして相棒として過ごしてきた友さえもいなくなる事に、ジャンゴは歯を噛み締めて涙を流すのをこらえる。いくら世界のために戦ってきたとはいえ、太陽少年はあくまで少年なのだ。その精神はまだ未熟な部分も多く、失う事の痛みに心は限界だった。

「ジャンゴ……暗黒の力に近づきすぎたわたしには、もはやこの姿を維持することはできない。父なる太陽の下へ還るべきときが来たのだ。わたしが去ろうとも、おまえの戦いはまだ終わらない。あの星に生きるすべての命をほろぼすこと……それが銀河宇宙の意思であるならば、われわれの戦いに、勝利はない。だがおまえが生きている限り、敗北もまた、ありはしないのだ。未来へ命をつなぐこと……それこそが、命持つものにとっての勝利なのだからな! さらばだ、太陽少年ジャンゴ!! おまえの未来が……太陽と共にあらんことを!」

そしておてんこさまも光となって昇華していき、それが消えるまでジャンゴは見届けた。友の最期をしっかり看取るために。

「さようなら、おてんこさま。さようなら……サバタ、カーミラ。みんなが残してくれた未来を、ボクは決してあきらめない! ありがとう……ボクらの太陽!!」














本来ならこのまま、月に静寂が訪れるはずであった。
しかし突然発生したミリ単位にも満たぬほんのわずかな時空の歪みが、何の因果か目に見える程肥大化してしまった。その歪みが何も無い場所で起きたのなら何の問題も無かったのだろう。だがまるで導かれたように、歪みは破壊の獣の傍で実体化、その場にあった存在を全て飲み込んでいく。運命の悪戯まで働いたのか、破壊の獣と同化していた心も分断され、解き放たれる。そのうちの一つ、おてんこは時空の歪みが閉じる寸前に流れに弾かれ世紀末世界に呼び戻されるが、他の存在はそのまま別の世界に放り出される光景を目撃するのだった。

「まさかこれは……交わるはずの無い異なる世界とこの世界の運命が交差した影響なのか。歪みに飲み込まれたのは、サバタ、カーミラ、そして……ヴァナルガンド。この戦いは……破壊の獣と人類の未来を賭けた戦いは、他の世界を舞台にしても続くということか!」

これは太陽少年のあずかり知らぬ戦い。そしてこの影響で、彼は人としての息を吹き返した。世紀末世界の地球とは違う地球、表面上は平穏でありながら運命が集束している街に、再び目覚めし暗黒少年は降り立った。


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