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最新鋭機
4部分:第四章
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第四章

「あの機体は太平洋のものだからな」
「太平洋の!?」
「我が国の諜報部が情報を入手してきた太平洋側の最新鋭戦闘機だ」
 それだというのである。
「今話題になっているな」
「ああ、そういえば物凄いのが今太平洋でテスト飛行を受けて実戦配備されることが決定しているそうですね」
「それは知っているな」
「ええ、まあ」
 このことを知らない筈がなかった。彼にしろ将校である。しかもパイロットだ。それでこんなことを知らないのでは話にもならないことである。
 それでだった。応えて。さらに話を聞くのだった。
「それは知ってますけれど」
「それがあの戦闘機だ」
 ジャックが先程まで乗っていたものだというのである。
「諜報部員達は必死に、それこそ命を賭けて手に入れてきたその最新鋭機を出来るだけ忠実に再現したものがあれだ」
「そうですか。あれがですか」
 話を聞いているうちに真剣な顔になっていくジャックだった。間違いなく軍人の顔である。
「道理であっちのシルエットですね」
「太平洋連合があれを実戦配備していくとすると我々はそれに対抗できる戦闘機を開発しなければならない」
「それで俺はあの機体に乗ってテスト飛行をしたってわけですね」
「そうだった。御苦労だった」
 こうは言っても表情は変わらない彼だった。
「おかげで機体の性能が幾分かわかった」
「あの性能は相当なものですよ」
 それは実際に乗った彼が最もよくわかることだった。だからこそ言ったのである。
「はっきり言いましてこっちのよりも数段上ですね」
「上か」
「あの運動性能ですよ」
 このことを話さずにはいられなかった。
「あれだけ凄いのはこっちにはないでしょう」
「そして速度もか」
「操縦性もよかったです。こっちの今の戦闘機じゃまず太刀打ちできませんね」
「ならばだ」
 将軍はそれを聞いてだった。静かに話を続ける。
「こちらの最新鋭機はあの戦闘機よりさらに上のものをだな」
「何しろですね。数じゃ絶対に負けますから」
 太平洋と欧州の人口と国力の差は恐ろしいまでに開いている。太平洋はそれこそ何十億もの人口がおり国力も最早欧州の数倍に達している。それに基く差は洒落にならないものだった。
 当然戦闘機の数もだ。尋常なものではない。それで性能まで差があってはどうしようもないのだ。
 だからこそジャックは言ったのだった。このことをだ。
「性能だけでも何とかしないと」
「その通りだ。だからこそ」
「はい、最新鋭機の開発を確実かつ迅速に行うべきです」
 敬礼をして述べるジャックだった。これが最初のテスト飛行の話である。彼はそれからもテスト飛行を担当した。
 その結果として最新鋭機が計画にあげられ配備まで決定した。彼の功績であった。
 ジャッ
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