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ペー族の服
第四章
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「ここは」
「そうだね、それじゃあ」
「可愛い服だし」
 それならとだ、二人は女の子の誘いに乗ってだった。
 そのペー族の民族衣装を買った。帽子や靴までだ。
 全て買ってからだ、建成は白菊に言った。
「じゃあ家に帰ったら」
「どうするの?」
「その服着てみる?」
「いえ、気に入ったから」
 それで、とだ。白菊は夫に答えた。
「だからね」
「それでなんだ」
「宿に帰ったら」
「そこでなんだ」
「着てみるわ」
 くすりと笑ってだ、夫に言うのだった。
「すぐにでもね」
「ああ、それじゃあな」
「今すぐ宿に帰りましょう」
「そうしてな」
「着てみるわ」
 建成ににこにこともして話してだ、そのうえで。
 二人は店で服を買ってすぐに宿に戻った、そしてその部屋の中でだ。白菊はその民族衣装に着替えた。そしてだった。
 夫に対してだ、くるくると回転してから問うた。
「似合う?」
「似合うよ、嫁さん普段からズボンだし」
「動きやすいからね」 
 それでいつもズボンなのだ。
「それでなのよ」
「そうだよな、そのこともあるし。それに」
 建成はペー族の服を着た妻にさらに言った。
「小柄だしな、嫁さん」
「小柄なのはよくないでしょ」
「それは服によるさ」
 建成は一七四で白菊は一五四だ、二十センチ違う。建成の目は切れ長で面長という中国人によくある顔立ちだが白菊はアーモンド型の目だ、唇は小さい。
 二人共黒髪で建成は髪の毛を短く刈っていて白菊は長い髪を後ろで団子にしてまとめている、その団子の頭からもだ、建成は言った。
「その髪型にもな」
「似合ってるのね」
「いやいや、思った以上に」
 しみじみとした口調でも言うのだった。
「似合ってるよ」
「それなら何よりよ」
「いいじゃないか、それと」
 建成はそっと妻に歩み寄った、そのうえで。
 そっとだ、ミュータに触れてだった。こう言ったのだった。
「これからもな」
「一緒にっていうのね」
「夫婦でもプロポーズしてもいいよな」
「お互いの相手になっててもね」
「一度だけってことはないよな」
「そういう話は聞いたことないわね」
 白菊もにこりと笑って返す。
「一度だけっていうのは」
「そうだな、じゃあな」
「一緒に」
「いような、これからも」
「じゃあまたここに来ましょう」
 夫の二度目のプロポーズを受けてからだ、白菊はこう返した。
「そうしましょう」
「ああ、気に入ったしな」
「またね」
「二人で来ような」
「子供が出来てもね」
 夫婦でにこりと笑って話して約束するのだった、そして。
 この旅を心ゆくまで楽しんだ、それで終わりでなくまたここに来ることを約束するのだった。


ペー族の服   完


   
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