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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十一幕 「古の巨人の力」
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藤さんはベルーナに呼びかけをする時点でとある決意を決めていた。

それすなわち――もしベルーナが自分の手の届かないことろに行くつもりなら引き摺ってでも連れ戻す、である。
彼女からしたらベルーナがこちらの首を締めようとしたのも他人を攻撃したのも、その「手の届かないどこか」という認識であり、それならばそこから自分側に戻ってきてもらえば解決だという簡単なようで難しい事を考えていた。なお、難しいというのは実現可能性の話だ。

その結果、抱っこで効果がないなら拳骨という極めて単純な消去法で、パニックに続く心神喪失状態から彼女は見事にベルーナの意識を「こちら側」に引き戻したのだ。これにはスーパー鈴も苦笑いである。

「痛いですって!?私の拳だって痛いわよ!もう〜、ベル君っ!!」
「ひ、ひゃいっ!?」

佐藤さんは痛みにこらえながら頭を上げたベル―ナは、裏返った悲鳴で返事をする。
それを聞いてウム、と頷く佐藤さん。完全にいたずらっ子を叱る大人である。混乱の極みであるベルーナは何故自分がこんなことになっているのか理解できないまま、しきりに頭にクエッションマークを浮かべている。

「あ、あの……僕は、何を――」
「んっ!」
「???」

佐藤さんは、ベルーナに両手を差し出すように広げて体を晒した。
暫く何がどうなっているのかも分からなかったベルーナだったが、ちょっと怒っている佐藤さんの表情に気圧されて頭を下げた。

「ご、ごめんなさい?」
「ブッブー!」
「ちゃんということ聞きます……?」
「ブッブッブー!」
「………こ、こう?」

ベルーナはよく分からないまま、佐藤さんの広げた腕の中に入るように近づき、その身体を抱いた。
その姿を見た佐藤さんは満足したように微笑み、ゆっくりベルーナの身体を抱き、耳元でささやいた。

「おかえり、ベルくん。さ、帰ろう?」
「………あれ?臨海学校は?」

攫われてから何があったのかを全く覚えていないのか、ベルーナは佐藤さんの腕の中でしきりに首を傾げていた。
 
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