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FOOLのアルカニスト
合体魔法
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 「主様も雷鋼の糞爺も毎日毎日よく飽きませんよねー。そうは思いませんか、セイオウボ?」

 「妾にふるでない化け狐。ぬしこそ、その言何度目じゃ?坊がここに来て以来、毎日繰り返されていることくらいとうに知っておろうに。大体にして、雷鋼様の慈悲によって生かされておきながら、その言いよう……恥を知るがいい」

 「えー、そんな事言われても、主様と違ってあの糞爺にはこれっぽちも魅力を感じませんし、力を根こそぎ奪われた恨みもありますから、その首をねじ切りたい思いはあっても、敬意も糞もありませんよ」

 「慮外者が……」

 チェフェイの完全に開き直った言に、呆れたように嘆息して口を閉ざす西王母。そんな両者の前では、主同士が絶賛戦闘中だ。まあ戦闘とは言っても、戦闘と言う名の鍛錬なのだが、互いに真剣で斬り合い、普通に死ぬことすら想定されているそれは、最早ただの鍛錬とはいえないであろう。

 「それにしても、私を召喚制御した状態でのペルソナ召喚とか、あの糞爺も大概無茶を言いますよね」

 「確かに困難であることは否定はせぬが、坊には必要なことじゃ。なにより、坊自身が望んでいることでもあるのじゃからな」

 そう、両者は傍観しているからと言って遊んでいるわけではない。西王母は常の治療&蘇生役というのもあるが、今回はそれにチェフェイの監視役も含まれていた。監視役とはいっても、チェフェイの行動を監視しているわけではない。西王母は、チェフェイの制御がされているかをMAG力場を通して監視しているのだ。
 チェフェイの方は、鍛錬の前に「戦闘を観察しろ、但し介入は許さない」という命令を徹より受けており、それを守って両者の戦闘を傍観に徹しているのだ。己も介入して、雷鋼に痛撃を加えたいという意思を殺しながら。

 すなわち、チェフェイが戦闘に介入した時点でこの鍛錬は失敗なのだ。この鍛錬の主題は、直接契約したチェフェイを己が制御下においたまま、ペルソナを召喚してみせることであるのだから。COMPを介しての契約と異なり、直接契約での召喚には、徹自身の制御力が問題となる。一体までなら制御可能なことは、すでに確認済みであったが、そこには重大な問題があった。それはペルソナを召喚しようとすると制御が甘くなるということであった。COMPを介しての二体制御ならば、ペルソナ召喚は何の枷にもならなかったが、直接契約下のチェフェイの召喚制御では重大な枷となるのだった。

 制御が甘くなる、言葉だけなら大したことではないが、実際は大事である。それは、召喚契約主である徹の意思に反することができるということと同義なのだから。すなわち、徹の隙を突いて、徹自身を殺傷したりすることができるのだから。そして、それは悪魔召喚士としては絶対に許されないことだ。ゆえにこそのこの鍛錬であった。

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