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ONE PIECE《エピソードオブ・アンカー》
episode1
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「ちょっ、離してよ! もう帰るんだから!!」


 アーロンの手がアンカーの体を掴む。小柄な彼女の身長は、アーロンの手の平に収まる程度しかない。捕まってしまえば、簡単に持ち上げられ逃げるのは不可能だった。
 足をバタつかせて抵抗してみせるも、無駄に等しかった。


「お前、俺の船に乗れ」

「ヤダ」


 遠巻きの連中から「ひぃっ」と声が上がる。
 誰もが、アンカーの死を想像した。身動きが取れない今の状態で攻撃を喰らえば、アンカーの命は無い。
 しかも、アーロンはここらでは最強の海賊と謳われている。そんな男の誘いを断った者はいない。もし断りでもすれば、殺されるかもしれないと考えていたからだ。


「理由は?」

「ワタシは海賊が嫌いだ。アンタも、嫌いだ」


 再び、遠巻きの連中から悲鳴が上がった。「何考えてんだあの馬鹿!」だの「殺されるぞ...」だの、様々な声がざわざわと鳴る。


「シャハハハハハッ!! なら、仕方がねぇ。帰んな」

「......」

「...またな」


 意外な反応。アンカー自身、これは死んだなと考えていた。まさか、笑い飛ばされるとは思っていなかった。
 そっと降ろされ、耳元で「またな」と囁かれたのには驚きを隠せなかった。

 この時、アンカー16歳。アーロン25歳。
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