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ファントム・バレット編 〜守り人たち〜
未来永劫ただ一人の仮面ライダー
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「こればかりは無理なんだ。だから、君に受け継いでほしい。俺の力を。守りたいもの。大切な者がたくさんある君に。他者の痛みを感じることのできる君に」

「・・・・《同質化(アシムレイト)》」

『本郷』の体が消え始める。

この時、本郷には『ハヤト』が見えていた。

(ハヤト・・・・別の世界だが、未来は)

ニコッと本郷は笑って。

(いい若者がいる、いい世界になっていたよ)

そのまま『本郷』は消えた。

今ここに、『本郷猛』は死んだのだ。そして、彼は。

ユキの掌には、かつて『ハヤト』が着けていたマフラーがあった。

ユキはそれを首に巻き、立ち上る。

現実世界に戻る。周りには、数百体の怪人。その中の一体、『アポロガイスト』が、叫んだ。

「なんだ、貴様は!!?」

ユキは振り返る。そして、言った。

「僕が誰か?」

「覚悟をした『守る』男だ・・・・お前たち、ショッカーと戦う者。お前達ショッカーの牙から、人々を守る者」

しばし、静寂。周囲は怪人が放った火で爛々と燃えている。

「『仮面ライダー』だ」

数十体の怪人が一斉に襲い掛かるが、無駄な事だった。

ユキにはすべて見えている。

《オメガゲイン》《超感覚》『本郷』の改造人間の本当の力。

それら全てが組み合わさり、凄まじい『何か』を生み出した。

相手の筋肉の動きなどがスローモーションで見え、更には脳から発せられる信号すら見える。

そして、怪人たち。

みな忘れているが、怪人たちは全て、ライダーと引けを取らぬ性能を持つ。

それが数十体。一斉に襲い掛かってくる。

しかし、ユキは。目にも見えぬ速度で。たった二秒で数十体の怪人をバラバラにした。

「な、なん!?」

ユキはアポロガイストの顔を掴み、力を入れ始める。

「言ったはずだ。覚悟はできた、と。僕はショッカーと戦う。この先、自分が失ったものを想い、嘆く日も来るだろう。だが、それでも僕はショッカーと戦う。平凡な幸せをこの手にできなくなったとしても、『守る』ことができる・・・・。それが今の僕の誇りだ」

一つ付けたそう。彼はもう一つ、受け継いでいた。

それは、名だ。その名は。

『「未来永劫ただ一人の仮面ライダー!!」』

「次は、僕たちの番だ」

ユキはそう言って、アポロガイストを握り潰した。

爛々と燃える火が、ユキの顔を明るく照らした。

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