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会見
会見
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ぬものがあった。
「御馳走様でした、閣下」
 深くお辞儀をしてソファから立ち上がり、きちんとベレーをかぶり直して敬礼をする。それに対してラインハルトは極めて儀礼的に、立つのも嫌そうな素振りで敬礼を返しただけだった。

 

(ローエングラム公は勝利に満足していないのだろう。だが、それだけではなく……)
 またしてもミュラーに先導される形で廊下を歩きながらヤンはふとそう思った。
 ヤンが知り得るラインハルトの人となりからでも、彼が今回のような勝ち方を良しとしないことは理解できる。だが戦争は戦場だけのものではない。戦術の前に戦略がある。
 ヤン自身は自分が参戦して、それが戦略的勝利であろうと、戦術的勝利であろうと勝利には違いないし、できれば戦略の時点で勝ちたいと思う。血は流さずにすめばそれに越したことはない。
 ラインハルトが実質上の銀河帝国の支配者となった時、自分を倒せる者がいればいつでもかかってくればよい、とロイエンタールに漏らしたことも、それがそうやって権力を得た彼の本心であることも、ヤンは知らない。
 本当にシャトルに故障箇所があったのか、それとも自分を返さないつもりだったのか、いろいろ考えても埒のないことだった。
 こんな自分でも待っていてくれる人達がいる。
 念願の年金生活の前にまだ片付けない仕事があることを思い出すとため息が出たが、その次には欠伸になり、シャトルの中でヤンは居眠りを始めた。     
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