■■SAO編 主人公:マルバ■■
はじまり◆動き出す物語
第一話 はじまりは普通で
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虹色のリングをくぐって――僕は、初めてこの仮想の大地を踏みしめた。右足を踏み出して走る。耳元で風が鳴る。それが心地よかった。
剣と盾をイメージした看板が目に入ってきた。あれは……武器屋か。
「初期装備のままフィールドに出るのもあれだしな…。ちょっと覗いていこう。」
ひとりごとをつぶやきながら、武器屋を物色する。短剣、長剣、突剣、両手剣、片手斧。オーソドックスな武器が並ぶ。その横に、円盾や軽鎧、重鎧、籠手などもある。防具屋も兼ねた武器屋といったところか。
「……どうせなら素早く動けるのがいいな。こう、しゅって走ってさくっていけるやつ……」
僕は短剣の中で比較的長いナイフを選ぶことにした。曲がった刀身は敵の攻撃を受け流すことに優れる…らしい。正直、ステータスに現れない性能の違いなんて使ってみなければ分からない。防具はとりあえず初期装備の軽鎧でいいことにして、追加装備で籠手だけ購入することにした。精算を済まして素早く装備すると、武器を振ってみたくてそのまま城門を飛び出して草原まで走ることにした。フィールドにでるとすぐに目の前に青いイノシシのようなモンスターが音をたてて湧出する。この世界で最弱クラスのモンスターだ。
腰の短剣を抜いて構えて、敵を見据える。ええと、スキルを発動させるには――こうやって構えればいいんだっけな。すると短剣が光を纏った。ソードスキルの発現だ!そのまま短剣を突き出すと、身体が剣に引きずられるようにモンスターに近づいて……首元にクリティカルヒット。ぷぎいいいいぃぃっという哀れな断末魔を残して、イノシシがポリゴンの欠片に砕け散った。
「おお、クリティカル!お前やるな。さてはベータテスター出身者か?」
「おわっ!」
不意に声を掛けられて不覚にも情けない声を上げてしまう。振り返ると、無骨な両手斧を装備したスキンヘッドの大男が見下ろしていた。思わず半歩後ろに後ずさる。
「い、いや…違うよ。僕はベータテスターじゃない。」
「おお、そうか。いや、見事な戦い方だと思ったもんで、つい、な。すまねぇ。俺はエギルってもんだ。お前、名前は?」
「僕はマルバ。ねぇ、その斧どこで買ったの?始まりの街にある武器屋って両手斧はおいてなかったと思ったんだけど。」
「ああ、いやぁ、始まりの街にある武器屋は一つだけじゃねぇんだよ。こいつは黒鉄宮の西側にある武器屋で買ったやつだ。俺はでかい得物が好みでね。男は豪快にいかなきゃな!がっはっは!」
「あはは、悪かったね、みみっちい武器で。僕はヒットアンドアウェイが好きなんだよ。」
話し方まで豪快なエギルにさらに半歩引くマルバ。
「おっと悪ぃ。そんなつもりで言ったんじゃねぇんだ。まあ武器なんて人それぞれだからな。とやかく言うつもりはねぇよ。そんなことより、お前、一人か?よかったらしばらくパーテ
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