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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
二話 高町家の現在(いま)
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た時のみ短く返答する)無言で食事をこなしていたクラナが一言呟き、皿を纏めると席を立つ。

「あ、クラナ!」
流し台にそれを入れて、静かにその場を立ち去ろうとした彼を、なのはの声が呼び止めた。

「今日、ヴィヴィオの、来たけど……見て行かない?」
なのはの問いの意味は恐らく話題の中心であるヴィヴィオ本人には「?」な物だったが、二人の間では通じるらしく、クラナは即座に首を横にふる」

「……いえ、結構です」
「そっ、か……じ、じゃあ、おいしかった?」
趣旨の繋がらない問いに、クラナは一瞬眉をひそめたが、特に何も言わず答える。

「美味しかったです。御馳走様でした」
「あ……」
そう言ってぺこりと一つ頭を下げると、クラナは二階への階段を上って行った。

「……はぁ」
なのはは又しても深めの溜め息を付く。フェイトが心配そうにその顔を覗き込んだ。

「えっと……やっぱり、相変わらず?」
「うん……」
訪ねたフェイトに、なのはは如何にも落ち込んでいますと言った様子だ。それはヴィヴィオも同様で、食べる手が止まってしまっている。

「声掛ければ返事はしてくれるし、頼めば家事もしてくれるんだけど……」
やっぱり、避けられてるみたい。と、なのは困ったように「にゃはは……」と笑う。その表情は悲しげで、それをごまかそうとしているように笑う彼女の姿は、フェイトにとっては心の痛む表情だった。

――――

こうなってしまうと最早言う意味があるか事態謎だが、なのはとフェイト。この二人の保護者とも、クラナはあまり関係が思わしくない。

先ず事実上の母親であるなのはに、クラナは殆ど関わろうとしない。基本的に自分から話し掛ける事はなく、顔を合わせるのも食事や帰宅の時程度。自分の事は殆ど自分でやってしまうため、なのはの方から構う事も殆ど出来ない。
彼女の方から声を掛けなければ、一日の親子の会話は「おはよう」「いただきます」「ごちそうさまでした」「行って来ます」「おやすみなさい」の五つで終了する……失礼。訂正する。コレはもはや会話ですら無い。挨拶で終わりだ。

ちなみにフェイトの方はと言うと……まだましだ。少なくとも家に来ていれば挨拶くらいは飛んでくるし、稀にだが……なんと会話のキャッチボールが三往復する。これは高町家の中では結構な記録だ。少なくとも一問一答以上に行かない母親Aや、返事すら返って来ない妹よりはましである。

「ヴィヴィオも……やっぱり、相変わらずかな……?」
「……うん」
フェイトが問うと、ヴィヴィオもまた、母親に近い悲しげな表情で俯く。二人の間に血縁的なつながりは無いはずだが、どういう訳か時折二人の間には似通った所が表れる事があった。やはり親子なのかなと、こ
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