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Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜
ビストロと咎人.3

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.3
男は顔色を変えずに
「おやおや、道に迷ったのですか?」
と、聞いた。
「いや、なんて言うか…新しい職場を探してまして。」
「その職場の場所がわからないのですか?」
「いやぁ…まだその職場を…職を見つけてなくてですね…!」
「おや、これは失礼しました。」
男は少し申し訳なさそうな顔をしながら続けた。
「自己紹介が遅れましたね。私、『平泉 八郎』と申します。」
賢太郎は、別に聞いてないんだけど…
とは思いながらも「山田 賢太郎です。」と自己紹介をした。
平泉はまだ話しかけてくるが、正直早くこの場から離れて面接に行きたいと賢太郎は思っていた。
「すいません、そろそろ俺次の面接に行きたいんですけど…」
と言うと平泉はまた申し訳なさそうな顔をした。
「おやおや、これはまた失礼をしました。…ところで、もう働く目星はついているのですか?」
「いえ、正直どこも厳しくて…働ければどこでも働くんですけどね…ははは」
言ったあとに、俺、なんでこの人にこんなこと言ってるんだろう。と思った。
平泉は、またニコリと笑って言った。
「ほほぉ…よろしければ、うちの店で働いてみませんか?」
賢太郎は驚いた。今まで、自分から行って断れることはあったけど、
向こうから、しかも働かないか?等と声をかけられるのは、仕事を探し始めて以来初めてだった。
「ほ、本当ですか!?」
しかし、前科のある自分を働かせてくれる訳ないよな。
と、賢太郎は思っていた。
「ええ、あなたさえよろしければ。素性、経歴、一切問いませんので。」
賢太郎はまた驚いた。
しかし、流石に怪しいのではないか?
と思い始めていた。
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