本編
第九話 夜中の会議
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西暦2115年 8月 20日
クレムトス・ラーム
現在私が指揮を執る第5艦隊を含む3個艦隊は敵が駐留しているハワイ諸島に向かっている。
そして今私は総旗艦ヴァルキュリーの作戦会議室で頭痛薬片手に2人の人物と話し合っている。
一人はロンディバルト民主共和国の大統領、ペルシャール・ミースト大統領。
もうひとりは若手のホープとして有名なライレム・ホーランド中将。
現在は敵と交戦するにあたり、作戦を定めるためにちょっとした会議をしているところだ。
しかし、今のところこの会議はホーランド中将の独壇場と言っていい状況になっている。
大統領も少し・・・というか大分頭を痛めているようだ。
「そもそも大統領閣下は防御するだけでご満足なのですか!」
また始まった・・・
「もちろん良いわけがない。しかし我々には敵を押し戻す力すらないではないか」
その通りだ。攻勢に出たくても出られないのが現状だ。そのことをやつはわかっているのか・・
「今まではそうでした。しかし!先月技術部が開発した『新型戦略核弾頭』を使えば、君主制連合など恐るるに足りません!」
コイツは自分が何を言っているのかわかっているのか!核弾頭などガルメチアス帝国も含め、何カ国もの国々が保有している!つまり、我が国核を打てばその何倍もの核がこちらに向かって発射されるのだ!そうなれば泥沼の核戦争の開始だ。10年も経たないうちに人類は絶滅するだろう。
「・・・ホーランド中将、貴官は今何を言ったかわかっているのかね?」
大統領が怒りに満ちた声で言った。
「もちろんですが、何か間違った事を言っておりますでしょうか」
「我が国が君主制連合と戦う大義名分は貴族によって搾取されている平民を開放することだ。核を大量運用すれば当然民間人にも被害が及ぶだろう。そんなことをすれば我々はその平民を開放するという大義名分を失うことになるのだぞ」
「・・・・・」
「だいたいそんなことをすれば核戦争に突入するのは目に見えている。少しは考えて発言してもらいたいものだ」
「・・・申し訳ありません」
ふう・・・少しはホーランドも大人しくなるだろう。
さて、そろそろ本題に映らなければな。
「大統領、そろそろ本題に入りませんか」
「あ、うむそうだな。本題に入るとしよう。敵の編成はどうなっているのかな」
「はっ、敵は我が方と同じ3個艦隊総数およそ1050隻ほど、我が方より約150隻ほど多く、苦戦が予測されます」
「ふむ・・・どうしたものか・・」
流石に大統領に作戦を考えさせるのは無理か。
「閣下、私に良い作戦があります」
また、ホーランドか。今度はどんなことを言い出すのか・・・
「・・・ふむ、聞こうか・・・」
大統領も嫌そうだ。しかし聞かないわけにはいかないだろうな・・
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