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エセ秀才の生残りを目指した悪足掻き
憑依?転生?する人物は指定できない

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第1話 憑依?転生?する人物は指定できない

 宇宙暦796年5月15日自由惑星同盟首都星ハイネセンのとある将官用宿舎で、一人の青年が歓喜と絶望を味わっていた。
 この日はハイネセン、いや自由惑星同盟の市民の大半がお祭り騒ぎに浮かれていた。なぜなら、「エルファシルの英雄」「アスターテの英雄」ヤン・ウェンリー少将がたった半個艦隊でしかも無傷でイゼルローン要塞を攻略したのだ。ソリヴィジョンではどのチャンネルでも若き英雄の比類なき功績を興奮して流し続けていた。

 いやね?最初は訳が分らなかったんですよ。朝起きたら、見知らぬ部屋で壁に埋め込まれたモニターからニュース映像として「ヤン・ウェンリー特集」なるものが流れているのだから。おもわず「知らない天j・・」と言いかけましたよ。
 最初は昨日までの3連休で銀河英雄伝説のDVDを一気見した後力尽きて寝落ちしたから夢でも見ているかな?と思ってたけど一向に醒める気配がない。その間にもモニターからはヤン少将のこれまでの功績が声高に流れ続けている。・・・もしや、ネットによくある転生ものあるいは憑依ものか?だとしたら、原作知識でヒャッホーできるか?・・・うん!できるに違いない!そのためにも一刻も早くヤン・ウェンリー(原作主人公)にコンタクトを取らなければ!
・・・・・・ええ、そんな風に考えていたときもありました。鏡で自分の顔を見るまでは。


なんで?なんで?よりにもよって、アンドリュー・フォークになっているだよぉぉぉ・・・・

 あれだよ、アンドリュー・フォークってさ、銀河英雄伝説の中でも1・2を争う嫌われキャラ(中の人にすら嫌われたキャラだよ!)で完全に噛ませ犬ポジションの人物だぜ。ヤンに一方的に敵愾心を燃やすくせに、出した作戦は楽観主義を通り越したアホ作戦で、自分のしでかしたことの尻拭いもできてないのに自分だけの正義感(ヒロイズム)に酔ってヤンの暗殺を目論んで、地球教に利用されポイ捨てされた救いようのない人間だよ。

・・・お、終った。終っちまったよ。俺こと安藤竜司(38)の銀河英雄伝説ライフはスタートと同時にそう思ったよ。


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