暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
戦場縦断
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されたポップアップウインドウが出現し、そこに記されているはずだ。

しかし、ユウキはそれをしようとは思えなかった。

なぜなら、彼女には初めてこの銃達を持った時からある思考に囚われていたからだ。

すなわち――――

お前じゃない。

これじゃない。こんなものじゃない。他に何かあるはずだ。何かもっと……気が遠くなるほどの間ずっと剣しか握ってこなかったこの手に収まるものが、他に。

それは、何の根拠もない。

だが、確信のある思念であった。

―――でも、さすがに丸腰じゃ戦えないからね。それまでは、よろしくね。

優しく微笑みながら、不思議な感触がかえってくる銃の表面を撫でる。すると、濡れたように輝く表面が返事をしたかのような輝きを返した。

それが何だか無性に嬉しくなり、口元の笑みを数段濃くしながらユウキは首を巡らせた。

「ねぇ!こっちであってるんだよね!?最初にいたパーティー会場!」

「えっ、えぇ……ってアンタなんでそんなに楽しそうなのよッ!」

なんでもなーい、と適当に返しながら、ユウキは脚に更に力をこめた。

一番初め、自分達が通されたパーティー会場に。

そもそも、超大型客船をシージャックするなんて非効率極まりない。金銭目的だとすれば、陸路が確保されている銀行でも襲ったほうがよほど成功率が高い。

このことを踏まえて考えると、黒尽くめ達はそれらの非効率を押し切ってまで何かをしたいということになる。

そして別角度から見れば、この侵入はおかしい点があった。

まず、スタート地点がおかしい。

仮に金銭目的を大前提として考え見れば、こんな大空間に侵入する際に無駄に目撃者を増やす必要はない。密かに侵入し、目的の物品なりをこっそり盗ってこっそり脱出するというのが正しいし効率的だし、なによりリスクがない。

平時ならば全区域に散発的に配備されている警備も、パーティーということもあってどうしても一箇所に集められることになる。警備の穴を突くことはそれほど難しくはないはずだ。

だが彼らは、よりにもよってパーティー会場のバルコニーから入ってきた。

まるで、そう。

見せびらかすように。

だとすれば、そもそもの大前提が大きく歪んでくることとなる。

掩蔽物が一切なく逃亡に不利な海上は、反転して近付くものをいち早く見つけることのできる要塞ともなる。しかも立派な動力がついているため、ただの要塞ではなく移動要塞ともなる。

つまり、見方が違っていたのだ。

攻勢ではなく、防御姿勢。

攻めではなく守り。

トンズラこくのではなく、立てこもりをするのだ。

先刻ミナから聞いたことによると、このGGO世界には、設定上の政治機構のようなものはあるらしい。
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