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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百八幕 「沈め、水底へ」
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この忌まわしい亡霊と出会ってから、いくつの攻撃を躱されただろう。
いくつの射撃を避けられ、何発のミサイルを撃ち込まれたろう。
だが、当たった。
当たったのだ、たった今。

その光景は、セシリアにも、一夏たちにも見えていた。

「……一瞬、目で追いきれませんでしたわ」

その瞬間速度に、セシリアは息をのんだ。
瞬時加速の速度さえ、今の動きは越えていた。恐らく今の紅椿はゴーストと同じく完全に音速を超えている。速度の上では互角。これならば確かにゴーストに対抗できる。

だが、蹴りを入れたゴーストは攻撃こそ通っているが、バリアのようなものに阻まれてか重要な機関にまでダメージは通っていないようだ。やはり、あれにはISに類する技術が使われていることは間違い鳴らしい。バリアを突破するためには、あれでは足りない。
しかも――とセシリアは思案する。

「操縦者への負担は……いや、仮にその点が問題ないとしても、最早あの速度では操縦者がコントロールすること自体が難しいのでは……?」
「すまんが……全く以てその通りだ、セシリア……!!う、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

咆哮を上げた箒と紅椿が、まさに稲妻のような速度でゴーストに肉薄した。

体当たりじみた蹴りでゴーストに移動させる暇も与えず蹴り飛ばし、蹴り飛ばした所に更に追撃を叩きこむ。速度が余ったようにゴーストを通り過ぎたかと思えばジグザグに光を帯びて加速しながらもう一度ゴーストを蹴り飛ばす。

否、それは最早衝突に近い。蹴りとは相手と自分の間合いを測った上で最も敵に与えるダメージが大きくなる点を見極めたうえで放つ技。しかし、稲妻のように超高速移動するその機体速度に感覚が追い付かない。速度に乗っているというより振り回されていると言った方が適切だろう。

(御すので精一杯とは、なんという……ッ!!)

歯を食いしばって、集中力を全力で繋ぎとめる。縦横無尽に荒れ狂う朱い稲妻となって、まさに雷のように予測不能に敵を攻撃し続ける。そのUFOのようなジグザグ飛行は箒が意図するものではなく、何時ゴーストを通り過ぎて空の彼方に消えてもおかしくないほどに出鱈目で死に物狂い。

だが、この好機に今は全力でしがみつく。

「ぜえっ、はぁっ………ッ、くおぉぉぉぉぉぉぉあああああ!!!」

ただ敵を追って蹴り飛ばすというそれだけに特化した、完全格闘専用超々高速戦闘形態。
その速度は絶大であると同時に、コントロールの難しさもまた然り。天災篠ノ之博士の手によって、パイロット保護の面ではかつての風花を大幅に上回るものとなっているが、その分犠牲にすることになったのが機体の操作性。

言うならば今の紅椿はブレーキが壊れ、アクセルが常に押し込まれた車のようなもの。ハンドルは本来ではありえな
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