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Lirica(リリカ)
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を反らし、弓を引く。人ならぬ呼び声で、緋の界の力を求めた。魔術の力が右手から矢尻に流れこむ。風が矢を放つべき瞬間を教えた時、手を離した。矢は、灰色の雲へと消えていった。
 地に映る矢の影が膨張し、戦火の神ヘブが使いの、巨大な三面馬が湧き()でた。忌まわしき地獄の軍馬は、召喚者が望む相手を地の果てまでも追い回す。三面馬は毒性の涎を大地に垂れ流し、前脚を振り上げていなないた。いななきは世界を震わす波となり、地霊たちを恐慌に陥らせながら広がった。その灼熱の蹄が青い貴石に下ろされて、焦げ跡が刻まれる。三面馬は荒野の彼方に消えていった。
 ニブレットは木巧魚に後を追わせた。
「ヘブの使いが何者かを捕らえたらば、直ちに都で待つオリアナに伝えにゆけ」



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