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新説シンデレラ 
第三章
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「嫁いでもらいます、特に」
「私はですか」
「その顔立ちです」
 シンデレラの整っている顔を見ての言葉だ。
「そこに教育が加われば」
「それで、ですか」
「かなりの相手に嫁げますので」
「そしてそれがですか」
「我が家の中興になりますので」
「では」
「はい、教育を受けてもらいます」
 シンデレラも、というのだ。こう話してだった。
 実際にだ、三人の娘達への教育がはじまった、家庭教師を雇ったうえで。
 また夫人自らだ、娘達に言うのだった。
「貴族としての身だしなみをです」
「身に着けないとですね」
「いけないのですね」
「歩き方も物腰も」
 その両方が、というのだ。
「優雅に。気品を以て」
「何事もですか」
「食事作法も」
「そうです、全てです」
 まさにというのだ。
「貴族らしく、気品を持たないといけません」
「わかりました、では」
「そうしたこともですね」
「貴女達には身に着けてもらいます」
 勿論シンデレラにもだ、こう言ってだった。
 三人共厳しい教育を毎日受けた、そして。
 その中でだ、身なりはというと。
 随分と質素だった、その質素なまるで灰を被った様な服を見てだ。シンデレラは姉達も同じ服を着ているのを見て夫人に問うた。
「これもですか」
「そうです」
 夫人はシンデレラに毅然とした態度で答えた。
「優雅なドレスを着ることも重要ですが」
「それと共にですか」
「質素さを知ることもです」
「貴族には大事ですか」
「そうです、ですから貴女達はです」
「こうした質素な服を着て」
「家事もしてもらいます」
 それもだというのだ。
「そして使用人達のことも知るのです」
「これも教育なのですね」
「全ては家の為」
 男爵家の、というのだ。
「ですから」
「そうですか、わかりました」
「私は貴女達を区別しません」
「男爵家の娘だからですね」
「そうです、それなら同じです」
 実の子も継子もどちらもないというのだ。
「ではいいですね」
「わかりました、それでは」
 シンデレラは継母である夫人の言葉に頷きだ、その服で暮らし使用人の仕事もした。食事も質素なものが多く教育は厳しかった、だが。
 夫人はあくまで公平にだ、娘達を育てていた。それは全てだった。
「忘れてはならないことは」
「娘達はだね」
「そうです、この男爵家の娘なのです」
 それで、というのだ。夫である男爵に対しても。
「ならば同じです」
「だから公平に接しているんだね」
「娘が三人いるのなら」
「三人共なんだ」
「厳しく育て」
 そのうえで、というのだ。
「成長してもらいます」
「そして婿を取り嫁いでもらって」
「家の繁栄を担ってもらいます」
「そういうことなんだね」
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