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神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Data.18 スイートタイム
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乗ってると刺すぞバカ」

「だってそうしないとどれだけ食べていいか分からないで、結局食べ過ぎちゃってルリくんに怒られそうなんだもん」

 つーかまだ誰も食っていいとは言ってないわけだが。

「あーん」

「……わかったよ。食わせればいいんだろ食わせれば!」

 俺は超絶デカい《トレンブル・ショートケーキ》を一口サイズに切り出し、それをフォークで突き刺してシズクの口に運ぶ。

「ほら」

「あーっん!もぐもぐ……美味しい!」

「そりゃ良かった」

 笑顔全開で喜ぶシズクを見ていたら、何だか苦笑してしまった。こいつは本当に、見た目だけなら美少女なのになあ。もったいねえ。

 くいくい。

 そんなことを考えてると、不意にやや斜め気味の前方から袖を引かれた。

 シズクのおかわりの催促だろうかと思ってデコピンの準備をしつつ、顔を上げると、

「あーん」

 可愛らしいお口を開けて待機中の細剣士(フェンサー)様がおられた。

 アスナ、お前もか。

「お前は自分の分あるだろうが。そっち食えよ」

「キリトくんにあげちゃったから少し減っちゃったし」

「自分からあげたくせに何を……」

 説得失敗。アスナは再び口を開けて待っている。

 仕方ないのでもう一度《トレンブル・ショートケーキ》を一口大に切りだし、アスナの口に突っ込む。

「はむっ……やっぱり美味しい……」

 シズクとは違うタイプの、一種の『美しさ』を感じさせる笑みを浮かべて味わうアスナ。湧き上がってくる苦笑はやっぱりシズクの時と同じだったが。

「むー!」

 何故か頬を膨らませて怒り気味のシズクに足を蹴られた。なんで?

 その後も二つの巨大ケーキを四人で食い分け、俺達は夕飯を終えたのであった。
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