暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王デュエルモンスターズ 〜風神竜の輝き〜
第2章 風神竜と謎の男
第9話 風神竜の帰還
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けだよ。それがどうかしたか?」
「転んで頬だけに傷がつくはずないじゃない。どんな転び方したのよ」
「いや、それは……」

確かにそう言われれば、もっともな話だった。
転んで頬が傷つくには、顔が地面にこすれなければならない。
自分で躓いて転んだとすればまず先に地面に手が突くのは必然で、顔に傷がつく可能性は限りなく低い。
亜璃沙が指摘するのはそう言う事だろう。

「誰かに、何かされたの?」

遊雅は何も答えられなかった。
そして同時に、彼女の目はどう足掻いても誤魔化せないと再認識した。
幼い頃からずっと一緒だった彼女が、彼の変化を見逃すはずがなかったのだ。
外見の変化も、そして、心境の変化も。

「できれば、心配かけたくなかったんだけどな」

前置きとしてそう述べてから、遊雅は昨夜の一幕の全貌を、亜璃沙に話して聞かせた。

「昨日、お前と別れた後にさ、妙な男に襲われたんだ」
「襲われたって……!?」
「落ち着け。暴力をふるわれたわけじゃない。ただそいつは、俺の《フレスヴェルク・ドラゴン》の事を知っていて、あのカードを渡せ、ってデュエルを挑んで来たんだ」
「デュエルを……それに、《フレスヴェルク・ドラゴン》の事を知っていたって……あのカードの事を知っている人は限られているはずじゃ……」
「そう。だから俺も不思議だったんだ。奴は何者で、どうしてフレスヴェルクの事を知っているのか」
「それで……その傷は?」
「あいつとのデュエルで、モンスターの直接攻撃を食らった時に、後ろに吹き飛ばされたんだ。その時についた」

亜璃沙は手で口元を押さえながら驚く。

「攻撃で傷ついたって……ソリッドビジョンじゃないの?」
「落ち着けって。何もモンスターの攻撃でついたわけじゃない。攻撃の衝撃で吹き飛ばされた時に、地面にこすれてついたんだよ」
「それにしたっておかしいじゃない!ソリッドビジョンシステムの適用化では、現実の地面や壁にぶつかった衝撃もある程度緩和されるはずでしょ?」

やはり鋭いな、と内心彼女を賞賛しながら、遊雅は続けた。

「確かにおかしい。あいつの攻撃を受けて、俺はどう言うわけか体に重々しさを感じた。まるで本当に、生身の存在から突き飛ばされたように、確かな痛みを感じた」
「そんな……大丈夫なの?」
「ああ。一晩寝れば大分(だいぶ)楽になった。心配はいらねーよ」
「心配するに決まってるじゃない!そんな危険な目に遭ったんなら、尚更……!」

必死に言葉を並べる亜璃沙の肩に優しく手を置いて、遊雅はそれを宥めた。

「心配すんなって。危ないと思ったら真っ先に逃げるから」
「けど……遊雅にもしもの事があったら……」
「大丈夫だ。俺はそんな簡単に大怪我したりしない。小さい頃から一緒にいるんだから
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