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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十六話 齟齬
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帝国暦 488年  9月 15日  レンテンベルク要塞 ウルリッヒ・ケスラー



ロイエンタール、ビッテンフェルト、ミュラー、三人の提督が押し寄せる貴族連合軍を撃退しレンテンベルク要塞に引き上げてきたのは十四日の夜遅い時間帯だった。疲れているだろうとは思ったが急いだ方が良い、話が有ると誘うと三人とも嫌がりもせずに付いてきた。彼ら三人もこちらに相談したいと思う事が有るのかもしれない。

メックリンガー提督の部屋に入りそれぞれ席に座った。
「卿らを部屋に誘ったのは見て貰いたいものが有るからだ。予め言っておくがかなり厄介な代物だ、そして我々全員に関わってくる。私とケスラー提督ではどうすれば良いか判断出来なかった。卿らの力を借りたい」

三人が無言で視線を交わした。それ以上の反応が無い事を見てメックリンガー提督が映像を映そうとした時だった。ドアをトントンとノックする音が聞こえた。誰だ? 皆が訝しげな表情をしている。心当たりは無いという事か。またトントンとノックする音が聞こえた。

席を立ってドアに向かう。嫌な予感がしたがドアを開けると目の前に血色悪い半白髪の男が立っていた。やはりこの男か……。
「オーベルシュタイン総参謀長……」
誰かが背後で呟いた。決して好意的な響きではない、どちらかと言えば迷惑気な響きが有ったが目の前の男は無表情だ。可愛げが無い、士官学校時代からそうだった。

「私も話に混ぜて貰えるかな」
「……」
「嫌な事は一度で済ませたい、そう思うのだが」
偶然ではないか、メックリンガー提督の様子がおかしい事を知ってずっと彼を監視していたな。そして皆が集まる時に動きが有ると待っていたわけだ。話の内容も察知しているようだ。

「メックリンガー提督、総参謀長にも入って貰おう、如何かな?」
「そうだな、そうしよう。いずれは総参謀長にも聞かなくてはならんからな」
メックリンガー提督の口調には好意など一欠けらも無かった。当然か、今日の事態を引き起こしたのは目の前のこの男だ。しかし本人もそれは分かっている筈だ、それでもここに来た。総参謀長も悩んでいるのか?

中に入れると私の隣に座った。気が重いが仕方がない、士官学校では同期だったのだ。席ぐらいは隣に座っても文句は言わん。他に言いたい事が有るからな。
「メックリンガー提督、始めよう」
「そうだな、始めるとしよう」
映像が流れ始めた。


映像が流れ終わっても誰も無言だった。黙って顔を見合わせている。ややあってロイエンタール提督が口を開いた。
「オーベルシュタイン総参謀長、我々が聞いた事は事実かな?」
「フロイライン・マリーンドルフの事は知らない。それ以外は細かい部分で幾つか差異はあるが大凡は事実だ」
淡々とした抑揚の無い口調だった。だがその事
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