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世にも不幸な物語
第六章『辻斬り現る』
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より屋敷の立派さが増した。つい見入るほどに。
 古さと言うか何と言うか、それが何とも言えない雰囲気を出していて、一言でまとめて言うなら「凄い」だ。
 取りあえず誰か居ないか門の周りを探してみたが、誰も居なかった。屋敷の中に居るかと考え声を掛ける事にした。
「すいませーん、誰か居ませんかー?」
 何も反応も無い。留守か、それとも気付いていないだけか。
 そんなことを考えていたら輝が何かに気が付いた瞬間、侍は輝を抱え後ろに跳んでいた。否。輝が気付く前には既に侍は後ろに跳んでいた。
 ドォン!!と地響き共に土煙が上がっていた。さっきまで輝たちが居た場所に。
「え!?」
 突然のことだった為何が起こったか把握するのに時間が掛かった。だがそれも出来なかった。把握する間もなく土煙の方から女性の声がした。
「死者に攫われた人間かと思っていたが、やはりそうでは無いらしいな」
 土煙が徐々に晴れて行く。
「貴様は一体、何者だ」
 土煙が晴れ声の主が見えてきた。
 身長はやや低めで銀髪のショートヘヤーで黒いリボンをしている。緑色の目立つ服を着ている。その女性の背には長刀があり腰には刀、今は刀を手にしてこちらに向けている。そして側には巨大な人魂がついている。
 こんな人いたか?輝は女性を見て闇風が教えてくれたかどうか必死に思考を働かせている。確か見たことがあるが思い出せない。
 今の状況だと、悠長に考えている暇は無い。
 あの女性は輝たちのことを警戒している。先ずは説得をして警戒を解いて貰いこちらの話を聞いて貰うしかない。
「ちょっと待って、話っ―――」
 話の途中で行き成りこちらに向かってきて刀で斬りにきた。
 侍は輝を後ろに投げ、刀を刀で受け止めた。
 ギギギッ!と金属が擦り合っているのが聞こえる。二人とも動かない。
 先に動いたのは女性のほうで、侍から距離を取った。
「死者だと思っていたが、案外出来るようだな」
 そう言って背中にある長刀を抜いた。
「次は、本気だ」
 長刀を持って構えた。やはり二刀流の剣士だったか。
「そこの人間」
 そんなことを考えていたら、不意に声を掛けられた。
「なんでしょうか?」
「何か言おうとしていた様だが・・・私は不審な奴らの話なんて聞く耳を持たない」
「・・・・・」
「先ずは斬る、話はそれからだ」
 説得は無理だな。
 最悪の状況だ。もう侍の活動限界まで3分を切っているのに戦闘になるなんて、しかも輝の体力は少ししか回復していないのに最悪な状況だ。
 輝は立ち上がり、相手に聞こえないように指示を出した。
(もう時間がない!とりあえずこっちの話を聞いて貰う状況にさせるしかない。相手の刀を折るか、二本の刀を落とせ!)
 指示を聞いた途端、一気に間合いを詰め斬りに掛かった。
 
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