第十一話
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開始した。見える位置にジュエルシード―――パッチ―――は見られない。そうなると、服の下がもしくは体の中か。
「オラ行くぞォ!!!」
自身に喝を入れて、彼は地面を蹴った。一直線に向かうのではなく、左右のビルの壁を蹴りながら、ジグザグに近づいていく。葵に本気で蹴られた壁が次々と倒壊していくが、どうせ現実世界ではないのだから、気にもとめない。
『・・・!』
凄まじい速度で近づく彼に、ヴォルケイノは拳を振るった。彼との距離は、まだ十メートル以上ある。拳が届く距離では無かったはずなのに、葵はそれを見て悪寒が走り、それに従って全力で上空へと退避した。
―――その瞬間、世界は真紅に染まった。
「うおおおおおおおおお!?」
凄まじい爆風に顔を覆いながら、彼は叫ぶ。原作で見るのと、現実で見るのとでは全く違う。昔は、「おーすげえ」としか思わなかったその攻撃だが、今の彼にはただ叫ぶしか出来なかった。
街が、マグマで埋め尽くされた。
今まで彼がいた場所は、全てが灼熱の世界に変わっていた。彼の後方、見渡す限り全てが、溶岩の海に沈んで行く。あるいは、原初の地球とは、このような姿だったのかも知れないと思わせるような、そんな光景だった。
「ッハ・・・!これは流石にやばくね・・・!?」
下からは体を焦がす程の熱が襲うというのに、彼の背中に冷たい汗が流れる。彼は自覚していないが、これは敵の強さに対する恐怖というよりは、前世の死因から、炎がトラウマとして刻み込まれているのが原因であった。パッチで強化された今の肉体なら家庭用コンロくらい驚異ではないと分かっているから日常生活では恐怖を感じないが、これ程の溶岩の前では、それも意味がない。
敵は、原作においても、パッチで強化された超人たちを何百何千と殺した、ド級の『災害』なのだ。あの溶岩を一度でも喰らえば、骨も残るまい。
「最初からコレとか・・・反則だろ・・・。」
葵は、目の前の現実を整理するのに手一杯で、敵への警戒を完全に忘れていた。それ程までに強烈な力を魅せられたからだったが、敵はそんなもの考慮してはくれない。
ドン!
地面を蹴る音が響いた時には、既にヴォルケイノは葵の目の前だった。
「やばっ・・・!」
『GAaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
咄嗟に腕をクロスしてガードの姿勢に入る葵。だが敵は、そんなもの関係ないとばかりにストレートを放った。
ジュッ・・・!
「あ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
ただのパンチ一発。それだけで、彼の両腕は炭化した。更に、そのまま吹き飛ばされる。
ゴッ・・・!!!
溶岩の海に沈み掛けながらも
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