第十六話 ある晴れた日にその十二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「両親が十八までは親元にいるべきと言っていまして」
「十八まで、ですか」
「十八までは子供だからだと」
「ご両親がお考えで」
「はい、そして十八になりましたので」
その子供でなくなる年齢、今井さんのご両親が考えているその年齢に達したからだというのである。
「編入を許して頂きました」
「高校三年生で、ですか」
「大学はもう決まっています」
受験生で編入は大変だなと思っていたらすぐにだった、今井さんから言って来た。
「もう」
「もう、ですか」
「はい、決まっていまして」
それでというのだ。
「大学もこちらです」
「八条大学ですか」
「芸術学部に」
もう進学も決まっているというんおだ。
「ですから来ました」
「左様ですか」
「そうです、この八条荘から八条学園に通わせて頂きます」
「もう畑中さんとは」
「はい、あの人とはもう」
畑中さんを知っている言葉だった、既に。
「お話をしまして入居の手続きもして頂きました」
「畑中さんとお話して頂いたなら」
僕も異論がなかった、このアパートのことは実際は畑中さんが取り仕切っているからだ。本当にこうしたことはあの人が全部してくれる。
「僕はいいです」
「左様ですか」
「それで今日からですね」
「はい、八条学園に通学させて頂きます」
そうするというのだ。
「今日から」
「それじゃあ」
「長崎から大変でしたね」
早百合さんは微笑んで今井さんに顔を向けてお話をした。
「遠路はるばる」
「昨日の夕方来まして」
「昨日ですか」
「はい、昨日は畑中さんが用意してくれたホテルに泊まっていました」
「それで荷物は」
「これからです」
部屋の中に、というのだ。
「入れさせて頂きます」
「それも畑中さんがですね」
「はい、影の実行部隊という方々が」
してくれるというのだ。
「そうお話して下さいました」
「そうですか」
「ですから私はです」
「このままですね」
「はい、お部屋で制服に着替えて」
そうしてというのだ、
「登校してくれればいいと昨日ご連絡を受けました」
「早いですね、お仕事が」
畑中さんのそれがだ。
「それはまた」
「あの方はしっかりしておられますね」
「はい、そうなんですよ」
僕も驚く位凄い人だ、実際に。
「僕の執事さんなんですけれど」
「大家さんのですか」
「そうなんですs、執事のお仕事だけでなく」
「アパートのこともですか」
「全部してくれるんです」
それこそ何でもだ。
「有り難いことに」
「それはまた凄いですね」
「僕は何もしていないんです」
実質にはだ、本当に僕は学園生活を送っているだけで他には何もしていない。それこそ何一つとしてである。
「あの人が全部し
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ