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戦友
第二章
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第二章

「だったらな。いいよな」
「わかってくれたか。それであんた」
「何だ?」
「名前。何ていうんだい?」
 それをアルフレッドに尋ねてきた。今度は名前であった。
「向こうの兵隊さんってイメージしかないんだけれどな、今は」
「アルフレッドっていうんだ」
「アルフレッドっていうのか」
「そうさ、いい名前だろう」
 今度は誇らしげな笑みになっての言葉だった。実は自分の名前には自信があるのだ。誇らしさをはっきりと感じているのである。
「それが俺の名前さ」
「確かにいい名前だ。けれど俺の名前もいいものだぜ」
「あんたは何ていうんだ?そのいい名前は」
「コシュートさ」
 彼もまた誇らしげな笑みになって告げるのだった。自分のその名を。
「覚えておいてくれよ。俺の爺様が名付けてくれた立派な名前さ」
「わかったよ。コシュートか」
「アルフレッドだな」
 お互いの名を呼び合う。何故かすぐに親しみを感じ合う名前だった。二人にはそう思えた。
「じゃあアルフレッド」
「ああ、コシュート」
 早速二人の名を呼び合った。もう親友同士の様な感じになっていた。
「早速行くか」
「食い物を持ってな」
 そう言い合って二人で山登りをはじめた。これが二人のはじまりでそれからはずっと二人であちこちを歩き回ったり話をしたりゲームに興じたりして楽しみ合った。二人だけだったがそれがかえってよかった。戦争のことなぞ全く忘れて楽しみ合った。そうして歳月を過ごし暫く経った。そうして。
「終わるらしいな」
「そうらしいな」
 春だった。二人はようやく緑になった山の一部に横に並んで座って話をしていた。話は戦争に関してだった。これまで二人が完全に忘れていた戦争のことだった。
「やっとって感じだけれどな」
「ここじゃ忘れていたけれどな」
「ははは、確かにな」
 コシュートはアルフレッドの言葉に顔を崩して笑う。笑うのと一緒にビスケットを口の中に放り込む。軍の保存食である。それを弁当にしているのだ。
「けれど。終わるのか」
「そうらしいな。ほら、あの東の大国がな」
「ああ、熊野郎か」
 お互いの国にいるなら誰でも知っているある大国だ。コシュートはその国が嫌いらしく侮蔑した言葉を出して顔を顰めさせたのであった。
「あいつ等が介入でもしてくるのかね」
「いや、国連に話をして停戦の仲介をするらしい」
「仲介か。何の魂胆なんだか」
「だが戦争を終わらせたいのは確からしいな」
 アルフレッドはインスタントの紅茶をブリキのカップで飲みながらコシュートに述べた。そのことは保障するのだった。
「まあ利権が欲しいんだろうけれどな。その見返りに」
「へっ、相変わらず欲張りなことだね」
 アルフレッドはそれを聞いてまた悪態をついた。口の左端を歪めて
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