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【短編集】現実だってファンタジー
R.O.M -数字喰い虫- 2/4
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てますか?それともからかっているん――」
「例えばだけど、そのノートを用意することで休養が必要になったりする場合、用意した翌日はやはり学校を休んだりするものだろうか。それとも単純に日にちを置いてから様子を見ようとしただけか。そして、そのノートが美咲ちゃんの手に渡ったのは果たして偶然なのか、それとも故意なのか。動機は?目的は?何より何故そんなものを知識として所有しているのか?」
「――な、何なんですか……なんで、あなたがそんなことを知ってるんですか!監視でもしていたんですか!?け、警察に通報しますよ!!」
「俺は疑問を提起しているだけだよ。俺はね、春歌ちゃん。君が何をしたかも、その結果としてどうなったのかもさしたる興味はない。重要なのは一つだけだ」

 そこに至って、漸く春歌は気付いたらしい。
 林太が、最初からすべて理解したうえで、美咲ではなく自分に話をしに来たことに。

「――俺は君が『ヨクジン』と繋がっているんじゃないかと疑っているんだよ。――この意味、分かるかな?」

 春歌は血の気の退いた顔でよろけて、廊下の壁に背中をぶつける。
 確定だ。彼女はヨクジンを知っている。あるいは、彼女がヨクジン。俺の人生に楔を打ち込んだ遠因。伝説的追跡者であるメリーの追跡でさえはっきりと捉えきれなかった存在の手がかりが、とうとう目の前に現れた。

「さあ、時間はある。俺は君に手をあげる気もないし、ただ事実確認がしたいだけだよ。君は何故彼女の精神を麻のように乱れさせたくせに、親友面して会いに来たりしているのかな?どうして自分で壊した存在を自分で愛でているのかな?そして何より、何故こんなことが実現できたのか……俺には分からない。分からないから――教えてくれよ」

 淡々と、表情を出さず、能面を張り付けた様に。
 林太は峻酷(しゅんこく)に問いただすような眼光で、春歌を見下ろした。
 
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