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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第1話「旅行の荷物はお手軽に」
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なんか感じる廃墟だな」
「長谷川さんも……ですか……。なんか僕も……」
「『僕も』なんだよ。何言ってんの」
「別に霊感とか全然ないけど、ココ…なんか…アレなんですけど」
「アレだな…」
「……アレってなんだよ」
「ハハハ。俺向こうで煙草吸ってくるよ」
 そうして荷物を背負ったまま長谷川は銀時たちから少し離れた所で一服し始めた。
 二人の重い空気に押され銀時の額から嫌な汗が流れる。
「な、な、なんだよ長谷川さんまで……。ちょっとやめてくんない。頼むからやめてくんない」
「いや別に……」
 表情を曇らせる新八につられて、銀時も不安になり始める。
 しかしその時崖下に人影を発見した。
 だが何度呼んでも反応がない。
 おかしいと思って目を凝らしてよく見ると、その人物が歩く雪の上に足跡がついてなかった。
 しかもかるく半透明の身体。それはこの世とあの世の境目をさ迷う徘徊者――まさしく『幽霊』だ。
「銀さん、あの人半透明ですよ。まさかあの人って……」
「今時なゴミ袋だって半透明の時代だよ!いるよ、半透明な人ぐらい!!」
 だが銀時は動揺しまくって強引な理由をつけて否定するだけ。
 新八はその態度に呆れながら、さっき見かけた半透明の『人間』に恐怖を感じていた。
 もしあれが正真正銘の幽霊だとしたら、この旅館は―
「銀ちゃん、いたいた女将」
 そうこうしているうちに神楽とお妙が戻ってきた。それに気づいた長谷川は煙草を片づけて、双葉も銀時の元へ集まる。
 廃墟じゃなくただのオンボロ旅館だった。そう新八が安心していると、お登勢と同じくらいシワのあるパンチパーマの小柄な老婆が銀時たちを出迎えた。
「どうも当旅館の女将・お岩ですぅ」

 歪んだ物体を背中に乗せて。


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 女将の背後にとり憑く半透明に歪んだ物体。黒く淀んだ瞳で銀時たちを覗いている。
 それは明らかに『幽霊』と呼べるものだった。
 その不気味な物体を目にすればまず悲鳴を上げる。だが神楽とお妙と長谷川は平然としている。気づいていないというより、見えていないようだった。
 同じくリアクションがないところからすると、双葉も見えていないらしい。
 つまり女将にとり憑いている霊が見えるのは銀時と新八だけ。

((この温泉旅館。かなりヤバイ所なんじゃ……))

 銀時と新八は人知れず恐怖を感じながら、温泉旅館『仙望郷』へ足を踏み入れた。

=つづく=?
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