暁 〜小説投稿サイト〜
日向の兎
1部
日向 ハナビ
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
い人だ」
ネジ兄さんは呆れたようにそう言って霧の中を少し駆け足気味に進み、私はそれに続いて急ぐ事にした。




「ネジ、そんなに焦る必要もないだろうに。一応、敵味方の区別はできる術だぞ」
森を抜けて少し開けた場所にあった池の上にヒジリ姉様は立っていた。面を付けている姉様を見るのは私にとって珍しい事なので、その兎を象った面に目がいってしまう。
「幾ら貴女でもあそこまで露骨に生殺与奪を握られる状況は不安になりますよ」
「なに、即死はせんよ。ただ単に詰むだけだ」
「……呆れるほどに有効な術ですよ、本当に」
「だが、私にしては珍しく非殺傷用の術だぞ?この天之狭霧神(あめのさぎり)は」
……私には二人の話の内容が分からない。さっきの霧の事だろうという事は分かるのだが、あれに一体何の意味があるのだろう?
「ヒジリ姉様」
「どうしたんだい、ハナビ?」
「天之狭霧神とはどのような術なのですか?」
私がそう聞くと姉様は少し考え込む素振りを見せると、直ぐに首を左右に振ってから私を見た。
「直接答えを教えるのは少々無粋なので、僅かばかりのヒントをあげよう」
「ヒントですか?」
姉様は一度頷くと私の目の前まで歩いてきて、視線を合わせるようの身を屈めた。
「いいかい、あらゆる術は大雑把に言えば二種類に分けられる。一つは相手に直接ダメージを与える物、もう一つはダメージでは無く相手の体を狂わせる物だ。
前者の攻撃殆どは誰でも分かるが、後者の攻撃を一人で対処するのは難しい。とはいえ、後者の術は私達のような眼があれば自分の体内のチャクラなどを観察することで容易く対処できるがな。
さて、天之狭霧神はどちらだと思う?」
「後者ですか?」
「正解だ。では、私の術は何を狂わせる?」
霧で体を狂わせる……光を歪めて幻惑させるという位しか考えつかない。だが、先ほどの霧では大した効果も望めない。
じゃあ、姉様に言われたように白眼で自分のチャクラの流れを確認しよう。
…………確かにえげつない術だ。
「これはもしかして姉様の意思で形態変化させられるんですよね?」
「当然だ」
「……本当に姉様、柔拳を使う必要があるんですか?」
「トドメ用にな。攻撃用の天之狭霧神、防御の弁財天、必殺の柔拳、何事にも使い分けは必要だろう?」
「その全部が理不尽な性能なんですよ、ヒジリ様」
「ふむ、全て最小の労力で最大の効果を求めた物だぞ?」
確かに姉様は強いと思っていたのだけれど、どうやら私の想像より数段上のようだ。
姉様の柔拳の練度は十分すぎるほどに知っているのだけれど、術の方は優秀ではあるものの模範的な物が殆どだろうと踏んでいたのでこれは予想外だった。
この人の術は今まで見たことも無ければ聞いたこともない術であり、その性能は異常
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ