暁 〜小説投稿サイト〜
イリス 〜罪火に朽ちる花と虹〜
Memo1 ヴァイオレット・ハニー
「腐らせる気はないから――今は」
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ーゼはつい後じさった。

 ミュゼがイリスから離れようとさらに浮いて下がったので、両者の距離は絶望的なまでに開いた。

「イリスたちの時代は『クラン』という単位で集団を表していたの」

 イリスは肩にかかった銀髪を払いながら答えた。

「あの次元刀の姿は、クラン=セミラミスの女主人、ミュゼ=セミラミスさまのご尊顔。クラン=スピアとも比較的良好な関係のクランだったわ。ミラさまなんか、ミュゼさまの美貌に憧れて、少しでも近づこうとなさったくらい。ミュゼさまに出会ってから、実際、ミラさまは断然女らしくなられたわ。――懐かしいこと」

 そこで図ったようにルドガーのGHSが鳴った。ルドガーは電話に出た。

『分史対策室です。その付近で、ユリウス前室長と思しきエージェントが分史世界に進入した反応が見られました』
「ユリウスが――分かった。ありがとな、ヴェル」

 ルドガーは筐体を畳まず、今回進入予定の座標と偏差をディスプレイに呼び出した。

「急で悪いけど、ユリウスの手がかりが入った。すぐ分史世界に入りたい。みんな、準備いいか?」
「とっくにできてるっ」
「ナァ〜ッ」
「大丈夫です」
「私も付いて行かせてもらおうかしら。分史世界、興味があるわ」
「じゃあ――行くぞ」

 ルドガーはディスプレイの座標と偏差をイメージしながら世界を跨ぐ力を開放する。

 引きずり込まれるように、ルドガーらは別世界へ落ちて行った。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ