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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆生きる意味
第六十三話 生きる意味:ミドリ&ストレア
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「おそらく、MHCPのシミュレーション機能のひとつですね」
 先ほどの夢について聞くと、ユイは確信を持って答えた。しかしストレアは意味が分からずに聞き返した。
「シミュレーション機能?」
「ええ。そもそもMHCPは人間を対象に様々な行動を起こすプログラムですので、間違いは許されません。従って、事態を悪くする行動を起こさないためにいくつもの対策がなされています。そのうちのひとつです。やるべきことで悩み、それがAIに一定以上の負荷を与えた時、その選択がプレイヤーにどんな影響をあたえるのか、不確定要素を適当に設定して最悪の状況をシミュレーションするんです。それによって、最悪の事態を回避するためにどのような行動を起こせば良いかを考えることが可能になります」
「それであんな悪夢を……」
「ええ、多分そういうことです。ミドリさんでもMHCPの根幹機能はちゃんと生きてたんですね。……そういえば私もシステムに閉じ込められてモニタリングだけしてた時にはしょっちゅうやっていました。いくら最良の選択肢が分かったとしても、結局なにもできなかったので、余計に崩壊を早める結果になりましたけれどね。ストレアさんたちは一体何で悩んでいたんですか?」
 ストレアが返事に困ってミドリを見ると、ミドリは頷いて言った。
「ストレア、そろそろ決断できただろう。こいつらにも話さないか?」
 ストレアは戸惑いながらも……しっかりと頷いた。


 ミドリたちは事情を話した。自分がAIである故に、ゲームクリアと同時に死ぬのは避けられないということ――。あまりのことに、その場に集まったマルバたち元《リトル・エネミーズ》の面々、ミドリとストレアが倒れたと聞いて駆けつけてきたシノンとイワン(ミドリとストレアが抜けた後も二人パーティーで攻略を続けていた)、そしてキリトとアスナは言葉を失った。ユイだけがもっともらしく頷きながら感想をもらす。
「やっぱり悩みますよね。わたしはパパとママが無事ならそれでいいので、その二択で悩むことはありませんでしたが」
「ちょっ、ちょっとユイちゃん! 私だってユイちゃんが死んでまでこの世界をクリアしたいなんて――」
「そうは言わせませんよ、ママ。ママたちはこの世界を出なければいけません。もしわたしのためにクリアを諦めるのなら、わたしはなんのために生まれてきたんですか。わたしの願いは、ママとパパがずっと仲良く暮らせることなんですよ」
「ユイ……お前は……」
「そんな泣きそうな顔しないでください、パパ。わたしを向こうの世界で展開してくれるんでしょう?」
「……ああ、必ず」
 そう約束しながらも、キリトにだって分かっていた。ユイを現実世界で展開することはできない。どんなOSで動いているのかすら分からないこのSAO規格で作られたAIを展開する方法など、彼に思い
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