暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
少女が行う破壊行動に容赦の文字は存在しない
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 鈴奈は自身専用にカスタマイズされた黒銀の銃を敵の女性に合わせて発砲する。しかし信じられない事に、相手は銃弾を細長いナイフで打ち弾き、一切のダメージも負っていない。その上、途轍もない爆発力で接近戦を持ちかけてくる。そのため彼女は普段なら考えもしない『命の危機感』を久方ぶりに感じていた。

 ――ああもうイライラする。とっとと死ねばいいのに。

 物騒な単語を心中で唱える女子高生は、真後ろから仕掛けられた刺突攻撃を紙一重に()けて、攻撃してきた男の右頬にナイフを突き刺した。赤い唾を吐き出しながら絶叫するその殺し屋を唾棄した目で見る鈴奈。彼女は刺したナイフを横に(ねじ)り、そのまま左右にスライドした。ビチ、ビチという頬を切り裂いていく音は彼の仲間に限りない恐怖を与え、殺意の炎を収縮させる。

 だが彼女の殺人剣は留まりを知らず、男の身体の中で暴走を繰り返す。

 口から瞼にかけてグシャグシャにしたナイフは、主人の意思に従って脳髄に飛び込んだ。そして自身の刃の部分を真下にして、鎖骨辺りまでを引き裂いた。そうして出来上がったのは、刃物で分断された血肉が顔面にこびりついたように付着する男の末路だった。

 「ふう……」

 今の作業を数秒でやってのけた本人は息を吐き、それから独り言のように言葉を吐き出した。

 「あたし男が嫌いなのよね。特に視界外から話しかけてきたり触ってきたり襲い掛かってきたりする奴が。まあ、赤島さんは別だけど」

 そこで周囲を囲む2、3人の殺し屋を眺め、適当な調子でこう言った。

 「次にあたしと殺りあうのは誰なの?とっとと出てきてあたしのストレス発散に付き合ってよ。良いコトしてあげるからさぁ」

 言葉だけ聞けば淫靡(いんび)極まりないが、両手に凶器という道具を持った佳人が言うのでは話が違う。目の前で見せられた解体ショーに身を震わせる殺し屋達。そんな彼らを見て鈴奈は心中でほくそ笑んでいたのだが――

 「先に強敵を殺しておくのが最適だと思うけど」

 「……アンタは呼んでないんですけど」

 鈴奈の真正面に立ったのは、先ほどから攻撃を仕掛けてくる白髪の殺し屋だった。銃弾を躱し、弾き、急接近して命を奪いにくるこの女性を相手取るのは正直嫌だ。他の仲間に任せてしまいたい。しかしこちらの数は圧倒的に少なく、一人が複数と戦っている状況だ。無闇に人任せにして被害を大きくするより、自分が抑えておく方が無難かもしれない。彼女はそう考え、最初に対話を計った。

 「このあたしに殺し合いを挑もうとするなんてバカなんじゃないの?言っとくけどあたしは男じゃなくても容赦しないよ」

 「容赦なんていらない。私は私のためにここにいるんだから」

 「は?何言ってんのか分からないんですけど。やっぱ
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