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Element Magic Trinity
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もティアには驚いたよう。だって“あ、そう”しか言わなかったもん」

そう。
そんな一言で終わらせたティアはそのままギルドの仮眠室に直行し、そのまま寝てしまったのだ。これには話したアルカも驚いたようで、しばらく言葉を失っていたのを思い出す。

「ま、アルカがあの時みたいに“ギルド出ていく”なんて言わなかったからよかったわ。そんな事になったら、ミラさん絶対悲しむし」
「悪魔でも人間でも、アルカが仲間なのに変わりはないもんね!いてくれなきゃ僕飢え死にしちゃうよう!」
「アンタは自分の食事以外の心配ないの!?」
「ほえ?心配してるよ?だってアルカがいなくなったら寂しいもん。親友がいなくなるなんて、もう嫌だよ」

そう言うルーの声のトーンが落ちた気がして、ルーシィは目を伏せる。きっと今、彼はサヤの事を思いだしているのだろう。ルーシィにそっくりな、明るい金髪の少女。
目を伏せたルーシィに気づいたのか、ルーは「そういえばさ」と話を変える。

「パラゴーネ、元気かな」
「クロノが言ってたでしょ、“評議院のカエル言い負かすくらいには元気だ”って。ま…それは元々の口調で、なんだろうけど」
「うー…パラゴーネとは上手く喋れないんだよねー」

外見に似て幼さを感じるルーの口調と、小柄な外見からは想像出来ないような複雑な単語を次々に並べるパラゴーネ。
困ったように眉を寄せたルーは、はむはむと一口サイズに切ったオレンジのムースを口に運ぶ。

「グレイは普通に会話するもんねー、頭の中見てみたいよう」










泣き止んだティアを連れ、ナツ達は他のメンバーと合流した。
あちこちに転がるデバイス・アームズの残骸に気を付けつつ歩いていたティアは、ふと差し込んできた影に顔を上げる。

「…クロス?」

どうにか1人で立つクロスは、俯いていた。何かを堪えるように、拳を握りしめている。
どこか戸惑うようなティアの声にピクリと肩を震わせて、クロスはゆっくりと口を開いた。

「何で、1人で行こうとしたんだ」
「…それは」
「頼りにならないのは解っている。姉さんの隣に立つほど強くないのも理解してる。けど、頼ってほしかったよ。1人で行って、傷ついてほしくなかった」

ぎゅっと、ティアが唇を噛みしめる。謝罪の言葉がぐるぐると頭を巡るが、何を言っていいのか解らない。
クロスが求めているのは、きっと謝罪なんかじゃない。そう理解してしまうけれど、ここで何を言えばいいのかなんてどこを漁っても解らなかった。

「……ダメだな、俺は。それが姉さんなりの優しさだと解っているのに、責めるだけで」

諦めたような声色に、焦る。何も言えない自分が憎たらしくて、ギリッと歯が鳴った。
違う。ダメなんかじゃない―――――そう言い
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