暁 〜小説投稿サイト〜
イリス 〜罪火に朽ちる花と虹〜
Interview9 我が身を証に
「彼らはクルスニクの子ではないから」
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 はるか古のお話。花の名を持つある少女が、水晶の卵から小さな精霊を孵しました。

 花の少女はどこに行くにも小さな精霊を連れて行きました。時には一緒に戦いました。戦友たちも、精霊との共栄を望む人々だったので、花の少女と小さな精霊の仲の良さを言祝ぎました。


 “お前はわたしよ、もう一人のイリス。大きくなって、強くなって、あの大精霊たちを殺してね”


 ある日のことです。花の少女とその仲間たちは、宝物を手に入れるため、海の魔物と戦いました。
 花の少女は小さな精霊と一緒に先陣を切って戦いました。
 ですが海の魔物は強く、花の少女は死の淵に追いやられました。

 心配して泣く小さな精霊に、花の少女はお願いしました。


 “精霊どもに運命を弄ばれたまま死ぬなんて絶対にイヤ。だから『イリス』、そうなる前にイリスを食べて。イリスの血肉を契約の証として立てるから、絶対に原初の三霊を殺して”


 小さな精霊は花の少女のお願いを聞いて、花の少女をひと欠片も残さず食べました。
 すると、ふしぎ。少女と精霊はひとつになって、新しい存在へと生まれ変わったのです。

 これが「蝕の精霊」が生まれた日のお話。



                    〜*〜*〜*〜


「おしまい」

 イリスが寝物語を締め括る頃には、エルとルルはすっかり夢の中だった。愛おしさが込み上げて、イリスはエルの頭を撫でた。

 レイアと契約してから、イリスは瘴気を体内に収められるだけのマナを得られた。だが、触れたものを蝕む性質は変わっていない。服を着ても布が腐らなくなった程度だ。

 今は、腐蝕対策も兼ねて黒い全身ラバースーツで表皮を覆い、その上から服を着ている。紫のジャケット、オレンジのキュロットスカート、ローファー。どれもレイアがあつらえてくれた物だ。


「イ〜リスっ」
「レイア」
「あ、エル寝ちゃったんだ。ルルも」
「ええ。こうして幼子を寝かしつけるのなんて何百年ぶりかしら――」

 レイアはどこか嬉しそうにイリスの隣に腰を下ろした。湿布とネットを処置したレイアの両手が視界に入る。イリスは痛痒を感じた。

「イリスってさ、ルドガーとかエルとか、クルスニクの人たちといる時、とっても優しい顔してるよね」
「優しい? そうかしら」
「うん。見守ってる、って感じ。きっとルドガーたち、イリスがそんな目で見つめてくれてるの、すごく安心してると思うよ。ほら、エルだって寝ちゃってるくらいだし」
「ルドガーやエルだけじゃないわ。イリスは、レイアも大事よ。こんな傷を負ってまでイリスを救ってくれた」
「えへへ、なんか照れるな〜」

 レイアの笑顔は好きだ。見ていると、産まれてから幸せでなかったことなど一度もな
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ