暁 〜小説投稿サイト〜
イリス 〜罪火に朽ちる花と虹〜
Interview6 End meets Start U
「エルはわたしが守りますから」
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からだ。

「エル、走って!」
「う、うん」

 エリーゼはエルと手を繋いで走り出した。ティポとルルがそれに続く。

(アルクノアのテロには気をつけてって、ジュードもレイアもメールで言ってた。やっぱりティポを持って来ててよかった。学校のみんなにバランさん。戦えるくらい精霊術が使えるのはわたしだけ。わたしがやらなきゃ)


「ね、ねえエリーゼっ、これ、なにっ?」
「きっとアルクノアのテロです。大丈夫、エルはわたしが守りますから」

 ――前だけ見て走っていたエリーゼは気づけなかった。
 ちょうど十字路になった道の、横側。そこにもアルクノアがいて、黒匣(ジン)兵器で通る人間を狙っていたのだと。

『リーゼ・マクシア人は出て行け!』
「え? ――あっ」

 術式展開が間に合わない。エリーゼはとっさにエルを抱き締め、自身を傷つけるであろう兵器に背中を向けた。

 だが、恐れた痛みはやって来ない。エリーゼは恐る恐る顔を上げた。

 エリーゼとエルを庇う位置で、一人の女が立っていた。
 野戦でも経てきたのではないかと疑うほどにボロボロに崩れた迷彩服。エルとよく似た翠色の瞳はやわらかくこちらを見つめている。

「怪我はない? エル、それと小さな精霊術士さん」
「は、はい! ……ありがとうございます。あなたは?」
「イリス! 前にエルたちのこと助けてくれたの」

 エルはイリスに駆け寄るが、イリスはさりげなくエルから距離を取った。子供が苦手な人なのかもしれない。

「そうなんですか。――わたし、エリーゼ・ルタスです。リーゼ・マクシアのカラハ・シャールから来た、親善使節です」『ティポだよー。よろしくね〜、イリス』
「よろしく、エリーゼ、ティポ」

 イリスは整った笑みで応えた。
 瞬時に悟る。この人はエリーゼに何の関心も持っていない。

 現にイリスの翠眼はエリーゼもティポも映していない。むしろ、接触を避けたエルをこそ、イリスは真剣に見ていた。
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