暁 〜小説投稿サイト〜
イリス 〜罪火に朽ちる花と虹〜
Interview1 End meets Start T
「世界に散らばる私の子どもたちよ」
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のような赤い筋が白い面を縦に両断している。

 骨は全てが金属のアームに置き換わった。皮膚が消えて上半身の骨格は剥き出しだ。特に両腕はもう肉の原型を留めていない。ただ工事重機のアームが地面近くまで垂れ下がるのみだ。胴体はもはや人工臓器らしきものが露出していて直視に堪えない。

 視覚的に救いなのは、背中は頭から尻まで甲殻に覆われて、向こう側を見通さずにすむ点か。

 髪の一房一房もコードに置き換わり、尖端に水晶刃を備えた武器となった。特に太いのが、頭から細いコードを束ねた円柱、繋ぎらしき円筒、工事用もかくやというウィンチと、三つ指にも似た捕獲アーム―― 一連のポニーテールだ。

 足は消えた。代わりに、甲殻と同じ素材の2本足で、しかも右足と左足でデザインが異なる。

 どう言い繕おうと、バケモノ、だ。


「………………………………イリス、なのか?」

 ソレに問いかける。
 ペルソナの口角が上がり、笑みが形作られる。ペルソナには表情機能があるらしい。

「イリスよ。コレがイリスの精霊態。蝕の精霊イリスの本性」

 答えた声はまぎれもなくイリスのものだ。コレはイリスなのだ。

「ふん。貴様など精霊を名乗るもおこがましい。世界を蝕む邪霊よ」

 頭上からクロノスが吐き捨てた。第三者のルドガーでさえむかつく気分にさせる声音と台詞だ。

「イリスからすれば、お前たち精霊こそ邪霊の名を冠すべきね。大自然を支配する権能を盾に取り、人類を管理下に置く傲慢なモノども」

 コードと化したイリスの髪が広がり、尖端を精霊軍団に向けた。精霊軍団もまた、再び属性に応じた一撃を撓めている。
 精霊軍団の攻撃が生み出す惨状は目の前にある通りだ。そこに同じ精霊らしきイリスの力がぶつかり合えばどうなるのか――

 じり、とルドガーの足は意思と無関係に下がっていた。

「大丈夫。貴方には傷一つ付けさせない」

 全属性の砲撃と、イリスが掌から発したエネルギーが激突した。

 ひどい眩しさに、ルドガーは腕で目を庇った。

 踏み止まっていられない。足が地面から浮いた。
 吹き飛ばされた。その後は覚えていない。
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