暁 〜小説投稿サイト〜
イリス 〜罪火に朽ちる花と虹〜
Interview1 End meets Start T
「倒れられない理由がある」
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で浮かぶ褐色の男。

「蝕の精霊――なぜ貴様が地上にいる」
「そんなことも分からない? 封印が解かれたから以外に何があるというのかしら」

 物陰にいても分かるくらい、明確な殺気が立ち込めた。
 イリスが精霊と称した全ての存在が、殺意を等しくイリスに向けている。

「――ルドガーはここにいなさい。進んで死地に赴く必要はないわ。大丈夫。すぐ片付ける」
「あ、イリ…ッ」

 イリスはふり返らず、銀髪をひらめかせて歩き出す。


 あちらの先制攻撃は水だった。激流のような滝がイリスに降り注ぐ。しかしイリスは、巨大な水晶刃のブレードをどこからか持ち出し、そのブレードで水流を割った。

 するとその水は氷へと転じ、イリスの水晶ブレードを捕えてしまった。

 イリスは無手で一歩下がった。だが、緑毛のゴーグル少女がそれを許さず、小規模な竜巻を起こしてイリスを捕えた。イリスの足が数センチ地面から浮いた。

「この程度」

 イバトルスーツのあちこちから細いコネクターが何本も射出された。イリスはコネクターの尖端を街路に突き刺した。そして、コネクター収納の勢いを借りて竜巻から脱出した。

 和太鼓の小人が太鼓を打つと、いくつもの小さな雷球が生じ、イリスへと放たれた。コネクターや他の触手を代わりに受けるが、イリス本人にも数発着弾した。

「う…っ゛…」

 感電したイリスは前屈みになったものの、決して膝を突きはしなかった。

「往生際の悪い――」
「生憎とイリスには倒れられない理由があるのでね」

 イリスが一瞬だけ視線を流したのは、他ならぬルドガー自身だった。

(俺のために? 俺なんかを庇うために、イリスは戦ってくれてる)

 今でこそ順に攻撃をくり出している精霊軍団だが、いつ一斉攻勢に出るか分からない。
 その時、ルドガーはこの剣でイリスを守り抜けるか?

 ここまで動かなかった褐色の男が手の平をイリスに向けた。

「その理由とやらもどうせ下らぬものだろう。ここで散華しろ、精霊殺し」

 大きな攻撃の発射の兆候。さすがのイリスでも躱しきれるか分からない。

(成長して剣が使えるようになっても、俺は役立たずなのか?)

 脳裏に走る、ルドガー・ウィル・クルスニクの根幹ともいえる、ある記憶。


 自分にひたすら哀しげに笑いかけ、自分を強く抱き締めた母。
 銀の長い髪をふり乱して××××に襲いかかった母。
 ××××の必死の抵抗によって致命傷を負った母。
 呆然とする××××に覆い被さるように、血を胸から噴き上げて倒れた母。


(『あの時』は見てるしかできなかった。でも、今なら。大人になった今の俺なら、何かできなきゃいけない。いや、絶対にできる!)

 感情で
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