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クルスニク・オーケストラ
第十一楽章 少し早いピリオド
11-4小節
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改造制服を着て、のうのうと私の前に立っている、ジゼル・トワイ・リート。

「ああ。おかげで無事に娘を正史世界へ送り出すことができた。有能な秘書を持って私は果報者だ」

 銃をジゼルに向けた。

 結果は完璧だったよ。だが、想定外のアクシデントであったのは事実。ここでエルがうっかり死んだらどう責任を取るつもりだったんだ?

「報酬に休暇をやろう。永遠に」

 トリガーを引けば茶番は終わりだ。後はエルが《俺》を連れて帰るのを待つだけでいい。

 ジゼルはその時、両腕を上げて――笑ったんだ。


「だいじょうぶ。しんでも、そこで、おわりじゃない。つぎは、あなたのばん、だよ」


 ダァァ…ン…!


 両腕を上げた態勢のまま、まるで踊るようにジゼルは後ろに倒れた。

 その時から、私の中で何かの針が停まった。ずっと停まったままなんだ。
 正史世界の君の槍に貫かれて、ようやくその理由が分かったよ。

 私は君にあこがれていたんだ。

 今なら兄さんやリドウの気持ちも分かる。君が多くのエージェントに慕われた理由。

 私も君に付いて行きたかったんだ。君が歩む道は間違いなく光に続いていると、信じさせるだけのものを君は持っていたから。
 誰もがそこに希望を見た。救われると、報われると信じた。
 まるで新興宗教の教祖サマ。タチの悪いドラッグトリップ。
 ああ、それでも、それでも。

 貴女の「ハッピーエンド」を見てみたかったよ、ジゼル――
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