暁 〜小説投稿サイト〜
クルスニク・オーケストラ
第十一楽章 少し早いピリオド
11-2小節
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
も、ダメだ。ダメなんだよ。だってもうそいつ、死んじまってる)


「……何でだ」
「ルドガー! 落ち着いて」
「何で! どうしてあんたが! ジゼル!!」

 どうしてここにいるのか。どうしてヴィクトルを背後から刺したのか。この男はエルの父親で、未来の……未来のルドガー、なのに。

「――――」

 すると、険しい顔のジゼルから何かが投げつけられ、頬にぶつかった。白金の歯車の集合体――《道標》だ。

(何で俺に…って、ああ、そっか。ジゼルたちは俺が《鍵》だと思ってるんだった。実際エルの力を借りてるから半分くらいは本当になるけど)

 黒い歯車がキャンドルスティックの刃先で砕け散り、ジゼルに降り注いだ。

 世界に亀裂が入る。亀裂から世界が崩れ落ちて、ブラックアウトした。





 雨が降っている。正史世界のウプサーラ湖跡にルドガーたちは立っていた。

 ルドガーは真っ先に、突っ伏すエルの傍らに立つジゼルに歩み寄った。

「あんた、知ってたのか。最後の《道標》があいつだって……不明だって言ってたくせに、分かってて隠してたのか」

 ジゼルの顔は長すぎる黒髪に隠れて見えない。
 雨は容赦なく強くなっていく。

「何とか言えよ! いつもいつも人をハメて騙して! いい加減にしろよ! どうなってんだよクランスピア!」

 肩を掴んだ。ジゼルが顔を上げる。
 彼女の青紫から赤へのグラデーション・アイが、全て真っ赤に染まっていた。

 掴んだ手を離したところで、逆にジゼルがルドガーに掴みかかった。

「《エルを……頼む。カナンの地を、開け……審判を、超、え……》」

 それだけ言ってジゼルは気を失った。
 ジゼルではない。今の言葉は。今、ルドガーにエルを託した男は。

「――ヴィクトル!」

 呼んでも、意識を失ったジゼルから答えはなかった。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ