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豹頭王異伝
邂逅
魂の共鳴
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させた。
 危険の匂いを嗅いだ獣の如く、険しく鋭い視線を副官マルコと交換。
「海の兄弟が良く演る怪談の類なら笑い話で済むが、冗談じゃねぇな。
 こっちにも来んのか、ゾンビーってこたぁ手足を斬って動けなくすりゃ楽勝か?」

「逆効果だね、這い寄る死体を見て肝を潰さぬ者は滅多に居ないよ。
 切断された死体が動いて襲い掛かって来るのだ、冷静に対処しろと要求する方が間違っている。
 死人返しの術は実際の攻撃力は大して無い、幻術を併用し同士討ちを誘う心理攻撃に過ぎない。
 限り無く甦った醜悪な死体が蠢いている幻想《イメージ》を払拭すれば、実際は少数だと判る。
 火を起こして焼いてしまえば問題は無い、闇を払う効果もあるからね。
 済まないがパロの魔道師は伝令に出して手許に残っていない、ゴーラ兵に焼いて貰わないと」

「マルコ、篝火を盛大に焚かせろ、松明をありったけ用意するんだ!
 俺とお前が先頭に立って手本を見せてやりゃあ、皆も真似て後に続く。
 松明を小姓全員に持たせて、ゾンビー共を片っ端から燃やしちまえ!
 恐慌状態にならねぇ様にする、それで良いか、ナリス様?
 この天幕にゃ近寄らせやしねぇから、どっかにフケたりしないでくれよ!
 行くぞ、海の兄弟、ゾンビーなんぞ焼き尽くしてやるぜ!」
「はい、イシュト!」
 ヴァラキア出身の元水夫長は通説を裏切らず、海の主神ドライドンを崇拝する迷信深い船乗り。
 ゾンビーの類を嫌悪する性質ではあるが臆病者に非ず、黒魔道に敢然と立ち向かう意志を披露。
 超自然現象や怪奇現象の類と厭と言う程に遭遇、結果として場慣れした魔戦士に従い剣を取る。

「2手に分かれるぞ、当直の隊長は誰だ?」
 カメロンの信頼する海の兄弟は記憶を探り、誠実な騎士の面影を見出した。
「コー・エンです、ユラニア正規軍で騎士見習いをしていたとかで命令には忠実です。
 無茶はしませんし、信頼が置ける男だと思います」
「そいつは、ナリス様の護衛に残す。
 ゾンビーの事を教えてやってくれ、頼んだぜ!」
 ユラニア大公国は長年に渡り闇の司祭、グラチウスが牛耳る闇の王国であったのだが。
 ゴーラ皇帝の忠臣を標榜する簒奪者、アルセイスの支配者に仕えた騎士は魔道の心得を持たぬ。

「わかった、黒魔道相手に実戦経験を積むには良い機会だと思うよ。
 そなたが出るまでも無いかもしれないが、ゴーラ軍全体に動揺が波及すると収拾が困難だ。
 私も一緒に行きたい所だが、足手纏いになりかねないからね。
 大人しく、留守番をしているよ」
「ゾンビー共を蹴散らして戻って来たら、話の続きをしようぜ。
 話し足りない事が未だ、山の様にあるんだからさ!!」
「私もだよ、イシュトヴァーン」
 主従が脱兎の如く天幕から駆け出し、仰天
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