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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
異聞 第四次ティアマト会戦(その6)
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は」
「私も分かりません。ただ、二つ気になる事が有ります。一つはヴァルデック男爵、コルヴィッツ子爵、ハイルマン子爵が少佐の転属に関係していたという事。もう一つはルーゲ伯爵、マリーンドルフ伯爵とヴァレンシュタイン少佐の関わりです」

キルヒアイスの指摘に同感だ、だが俺にはもう一つ疑問が有る。この話と今回の一件、何処で繋がるのだ? さっぱり話が見えてこない。
「ヴァレンシュタイン少佐の両親を殺したのはヴァルデック男爵達では無いのか……、あるいはその贖罪か……」

「さあ、どちらであろうな。だがヴァルデック男爵達がヴァレンシュタイン少佐と関わりが有るのは事実だ。問題は関わりが見えぬルーゲ伯、マリーンドルフ伯であろう、違うかな」
フレーゲル男爵の言う通りだ。一体何故両家は少佐のために動く……。何らかの関わりが有るはずだ。

「フレーゲル男爵、卿、調べたのか」
俺の問いかけに男爵は眼で笑った。“当たり前だ”とでも言っているようで面白くなかった。一々癇に障る奴だ。

「ルーゲ伯については直ぐ分った。伯は九年前、司法尚書を務めている」
「九年前……、九年前と言えば……」
「ラインハルト様、少佐の御両親が亡くなられた時です」
「うむ」
「それとルーゲ伯とコンラート・ヴァレンシュタインは個人的に友誼が有ったらしい」

なるほど、コンラートは弁護士、ルーゲ伯は司法尚書か……。個人的な友誼というがかなり親しかったのかもしれない。
「問題はマリーンドルフ伯だ。これがなかなか分からなかった……」
「だが分かったのだろう」
「うむ」
得意そうな顔をするな、ムカつくだろう。水を飲むな、早く話を進めろ!

「マリーンドルフ伯爵家とヴァレンシュタイン少佐の間には直接は何の関わりもない。問題はキュンメル男爵家だった」
「キュンメル男爵家?」
聞いた事のない名前だ。キルヒアイスを見たが彼も訝しげな顔をしている。心当たりが無いのだろう。

フレーゲル男爵は俺達が困惑する様子を見ても笑わなかった。
「卿が知らぬのも無理はない。キュンメル男爵家はマリーンドルフ伯爵家とは親戚関係に有る家だ。当主は未だ十代だが生まれつき病弱でな、宮中には一度も出た事が無い。長くは無いな、まず三年、良くて五年といったところだろう。誰も相手にはせん……」
「……」
なるほど、それでか……。

「当然だがそんな有様では領地経営など出来ん。先代のキュンメル男爵は自分が死ぬ時、親族の一人であるマリーンドルフ伯爵に後見を頼んだ。それが問題だった」
「問題? マリーンドルフ伯爵は誠実な人物だと聞いているが?」
俺の隣でキルヒアイスも頷く。おかしなことにフレーゲル男爵も頷いた。何が問題だ?

「その通り、伯には問題が無い。問題は伯が後見をする事を不愉快に思った人物
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