暁 〜小説投稿サイト〜
扉の向こうの物語 
独りの王
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この世界は一般的に3つに別けられている。

常界〈テラスティア〉
魔界〈へリスティア〉
天界〈セレスティア〉

これら3つを合わせてこう呼ばれる。

統合世界〈ユナイティリア〉

と…


ここ、西の街〈トレヴェス〉は活気で満ちた西の都と称され、近くの山々の幸が主な特産物となっている。他の街からの行商人も多数やって来て露店を開いている姿が印象的だ。
これといった観光名所というものは無いが、街の中心にある小さな教会は人々に毎日教えを説き、ある時は共に街のために活動している。

「おっちゃん、あれ一つちょうだい」
「ほいよ、お代はいただいた、まだ若いんだからあんまり吸わん方がいいぞねえちゃん」
「こいつ以外に私を安らげてくれるやつはいないよ」
「そうかいそうかい」

街に入って早々にはイフリートとはぐれてしまったアカネだったが、露天のおじさんと話し込んでいるイフリートを見つけ、掛ける言葉を探していた。

(目の前の俺の守護霊は何をしているんだろう、買い物袋を両手に収まらないほどに持っているにも関わらず、タバコ吸って)

「ようアカネ、どこほっつき歩いてたんだよ」
「ごめん、それこっちのセリフ、我先に人混みに飛び込んで行ったのはどこの誰ですか?」
「ついて来れないお前が悪い、女の面倒ぐらい見れないでどうする」

そう言うと両手一杯の荷物をアカネに押し付け、タバコを新しく吸いはじめた。

「仕方ないな、女は怖いねぇ、これどっか広いところ持っていかないと……あ、すみません」

荷物の置けそうな場所を探すアカネだったが、前もろくに見えるはずもなく前から迫っていた人影にぶつかってしまった。

「よい、気にするな、それより荷が崩れそうだが」
「え?とっとっとっ…」

案の定荷物はひっくり返る。
行き交う人々は忙しなく、特に気にする様子もないようだ。
アカネが荷物を崩してあたふたしていると隣でさっきぶつかった人が拾い始めてくれているのが見えた。
頭から足まで覆うような黒いローブを身につけていて、見るからに怪しいが悪い人ではなさそうだ。
アカネは素直にそう思っていた。

「早く拾わんか、もともとはそなたがこんなに持っておるからであろう」
「すみません、連れがたくさん買って来まして…ってあいつどこ行ったんだよ!」

不意に手に当たるくすぐったい感触。アカネがふと手元を見ると紫色の髪が触れている。陽に当たると美しくキラキラと光っていた。

「あ、すみません」
「気にするでない、この髪はわらわの自慢の一つだからな、しかしあまり他人に見せることは叶わない、自慢ができない悲しみがそなたにわかるか?しかし、ここならかえって誰も気に掛けんわな」

フードを両手で丁寧に取り去りそ
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