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闇物語
コヨミフェイル
002
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 何故か僕の妹達は使命であるかのように、宿命であるかのように兄である僕を朝になると決まって叩き起こしにくるのだ。
 そう、言葉の通り、「叩き起こし」にくるのだ。
 アニメで見る純情可憐な妹が起こしにくる画を思い浮かべたいところだが、現実との差に卒倒しそうになるのでやめておくとして、妹達が起こしにくると、いつも殴る蹴るの暴行が伴うのだ。ドメスティックバイオレンスが伴うのだ。日常的に暴力が行われている家庭なのだ。
 中学生とは思えないような剛力無双の力で襲い掛かってくるのだから、寝起きの僕に対処のしようがない。なされるがままだ。それに二人は人間の急所という急所を知り尽くしていて、人体の破壊を生業としているような奴等なのだ。毎朝のようにあちこち殴られたり、蹴られるのは吸血鬼もどきの体質でもってしても堪え難い責め苦だった。
 「兄を虐待して何が正義だ!」
 と、一見、というか完全に兄の沽券が下がるような抗議をしたことあるが、
 「兄ちゃんが正義を語るな!!」「お兄ちゃんが正義を語るな!!」
 自称正義の味方にマジギレされた。いつから僕は正義を語ってはいけなくなったのかも、何故マジギレされないといけないのかもわからなかったが、マジギレされた。そのときは僕が引いたから事なきを得たが、あれほどキレた二人を見るのは久しかった。
 そんなこともあって、対抗策として目覚まし時計を置いたことがあるが、今度は火憐の正拳突きでスクラップにされた。
 「兄ちゃんの目を覚まさせるのはあたし達の役目だ!機械に仕事は奪わせねえ!」
 まるで僕が悪の道を進もうとしているダークヒーローみたいだが、そういうことらしい。
 迷惑極まりない。
 と、言いたいところだが、これが無下にできない。
 叩き起こされているにも拘わらず、遅刻欠席早退などで出席日数ぎりぎりの僕が、妹達に起こされていなければ、今頃既に学校には通っていないだろうことは想像するに難くないのだ。もしそうであれば、皆とは出会っていなかっただろうし、こんな楽しい高校生活を送れてなかっただろう。
 そう思うと、無下にできないのだ。
 とは言え、妹達が今の僕の日常を構成している一部だということを鑑みても、学校のない週末、祝日、長期休暇の間も含めて寝ても覚めても暴力的に起こしにくることを許容できない。
 二人が僕を起こすようになったのは僕が高校に上がったときからである。すなわち、僕は堪え難いような責め苦を二年半耐えたということだ。更には日を重ねるに連れて、二人の激しさは増すばかりで、ゴールデンウィークに月火にパールで頭を打ち抜かれそうになったのは記憶に新しい。
 勿論感謝はしている。だけど、これはこれ、それはそれ。
 ことは既に一刻を争う状況なのだ、一刻の猶予も残されていないのだ。今まで怪異にどれほど殺されたかわ
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