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無欠の刃
下忍編
宣戦布告
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 意外と忍耐強い彼が激情のまま、自分の感情に身を任せた結果、殺しかけるとは思っていなかったらしいカトナは、少し驚いて、ネジの顔を見つめ返すが、若干落ち込んでいるらしいネジは、その視線に気づかず、懺悔するように呟く。

「例え、宗家といえど、負ける理由はない。…が、殺す理由もまたない。のに俺は、一時の激情で、殺しかけてしまった」
「それ、で、落ち込んで、るの?」
「…ああ」

 ふむ、と頷いたカトナは、自分より高いネジの頭をポンポンと撫でる。
 ぎょっ、と目をむいたネジが、身を引くのを拒むように、もう片方の手でネジの肩を掴みつつ、カトナは笑う。

 「あんまり、おちこまない、で」

 そういいながらも、少しだけ思考は昔を振り返る。
 昔はこんな風に、イタチ兄さんに撫でられていたなとか。そうやって頭を撫でられることが、…もういないあの人たちに撫でられるようで、とてもうれしかったとか。いつのまにか、サスケが落ち込んでる時に撫でるようになってくれたとか。最近ではイルカもたまにカトナの頭を撫でるとか。カカシがカトナの頭を撫でた瞬間、サスケが凄まじい殺気をカカシに送り付けたとか。
 そんな下らないことを思い返しつつ、一定のリズムを刻むように優しい手つきで、ネジの頭を撫でる。
 ネジは思いのほか手馴れている撫で方に、驚きの声を漏らす。
 ネジの中のカトナに対する印象は、忍として生きてきた少女であり、一般的な少女ではない。撫で方などは知らぬイメージがあったため、少しだけ戸惑ってしまう。
 細い指が、優しい手つきが、小さく洩らされる微笑が、温かな体温が、彼女が確かに少女だということを伝えてきて、カトナが今考えていることを知ったら、怒るかもしれないなと思いつつ、ネジは問いかける。

「…手慣れているな。弟にしているのか?」
「あんまり。あのこ、なでられるの、嫌い、みたい」

 いや、決して、ナルトが撫でられるのが嫌いというわけではない。
 カカシやイルカに撫でられるとうれしそうにしているし、撫でろとせがむこともあるくらいだ。
 ただ、カトナに撫でられることは、子ども扱いされているように感じるのか。あまりしてほしがらない。
 …カトナもまた、なんだかんだいって撫でられるのが好きなので、ナルトをあまり撫でない。
 だから、撫でたとしても、本当にたまにだ。

「ああ、そういえば、弟といえば、うずまきナルトに宣戦布告されてきた」
「ナルトが、宣戦、布告?」

 自分の弟の姿を思い浮かべる。天真爛漫でいて、元気で活発。そしてなにより率直で短気。
 もしも、ネジが自分にとって気に食わないこと―例えば、友達を傷つけたりしたら、怒るだろう。

 …あの子ならやりかねないなぁ。

「お前は絶対に俺がぶった押してやる、だ
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