二十三話 思考
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ボスもとい鬼隆は、身構える。
いきなりこの空間に入ってきたこの男、新月狂夜に。
本来この空間への侵入は、不可能なのだが…
この男ならやはり無理は、きくのだろうか?
「…やっぱり規格外…裕海もこいつを殺すなんてよく言うぜ…」
鬼隆は、目を細めて言った。
「…」
狂夜は、無言で口元をくっとあげて微笑する。
「…ちっ」
鬼隆は気に入らなかった。
この男が。
恵まれた才能。
最高峰の身分。
約束された勝利。
――ふざけやがって。
――ぶち殺す。
鬼隆がそう思ったとき、
既に行動は、終わっていた。
狂夜の頭が身体から離れた。
ブチッと筋肉繊維の切れるような、醜い音がなる。
「…!?」
白夜は、驚きを表にした。
――狂夜は、いつの間に殺されたのか。
しかし鬼隆は、白夜の驚きなど知らずに頭を抑える。
(これ程までとは…)
ふと裕海の言った台詞を思い出した。
『その能力は……使い勝手が悪すぎる。
下手をすれば殺すと思っただけで殺せる。
……まぁ全ては、思考力次第なのだが…
君が勝てると思った相手には、必ず勝てて、
君が少しでも勝てないと思ったら必ず勝てない。』
鬼隆は、頭から手を放し、自分の手を開いたり閉じたりした。
そして、しばらくして手を戻すと、
狂夜にゆっくりと近づいた。
――狂夜がこの程度で死ぬわけがない。
――身体の全ての器官を…
「ボロボロに壊してやらないと…」
そして鬼隆は、狂夜の遺体の消滅を思考した。
すると、どうだろう。
狂夜の身体は、まるで最初から嘘空だったみたいに無くなった。
――勝ったッ!!
鬼隆は、静かに笑い出す。
確実に勝利を手にしたように…
しかし鬼隆は、知らない。
自分が狂夜にほんのちょっとでも勝てないと思った事に。
「はっはっはっ」
鬼隆の後ろで誰かが笑っていた。
喜ぶ鬼隆を嘲笑うかのように。
まるで最初からここに居たように。
鬼隆は咄嗟に振り向いた。
しかし鬼隆は、気づくのが少し遅かった。
狂夜は、魔法を放つ。
『Dream of Crimson(紅の夢)』
鬼隆は、嘘みたいな狂気に蝕まれた。
鬼隆は狂夜から一歩下がる。
「おや、完璧に蝕まれなかったか。」
狂夜は、落胆した顔を見せる。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ