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クルスニク・オーケストラ
第九楽章 実らぬ恋の必勝法
9-1小節
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で、ヒステリーはおよしになってほしいものね」

 先だってニ・アケリアでイバルの剣を掴んだ右手を見下ろす。
 Dr.マティスの精霊術ですぐに治せたからいいものの、下手をするとエージェント生命に関わったでしょう。

「……と、ぼやいてみても、わたくしにはあのような経験、日常茶飯事ですがね」
「に、日常?」

 ええ。縁もゆかりもない他人のせいで、傷つき、苦労し、時間を奪われた。何度も、何度でも。

「あんなことが、何度もあったのか?」
「ありました」

 だとしても、《レコードホルダー》を恨むことなどできません。彼らはただ必死に生きて人生を駆け抜けただけなのですから。


「どうして――そこまでして、エージェントを続けるんだ?」
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