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甘い毒
第二章
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第二章

 彼はそれから洋香の家に呼ばれてお菓子を食べた。洋香が作ったものを彼女の母、潤一の伯母が用意してくれているものをである。作るのは洋香で用意するのは伯母であった。
「今日はこれよ」
 黒いセーターとズボンの上に白いエプロンと被りものの洋香が彼にそのお菓子を出してくれた。
「シュークリーム」
「何か、凄いふっくらとして」
 テーブルに座る潤一はその大きなシュークリームを見て声をあげる。
「美味しそう」
「美味しいわよ」
 洋香はにこりと笑って彼にそう言ってきた。
「さっき味見してみたけれどかなりね」
「じゃあもらっていいですか?」
「ええ、どうぞ」
 にこりとした笑みのまま応える。
「召し上がれ」
「はい」
 その言葉を受けてからシュークリームを手に取って口に入れる。するとシュークリームの薄い皮の中からとろりとしたクリームが出て来た。それがたまらなく甘かった。
「うわ」
「どうかしら」
 洋香は潤一が口に入れ終えたのを見てからまた声をかけてきた。
「美味しい?」
「ええ」
 こくりと頷いてその言葉に答えた。
「凄く」
「そう、よかったわ」
 その言葉を受けて目をさらに細めてきた。
「一生懸命作ったから。そう言ってもらえると」
「洋香さんってお菓子は何でもいけるんですか?」
「洋菓子はね」
「ふうん」
「他にもティラミスとかも作れるわよ」
「ティラミスまで」
「本も持ってるしね」
「あれっ、持ってたんですか」
 部屋の模様替えの時には見なかったからそれは意外だった。
「ええ。それを見ながら作ってるのよ」
「そうだったんですか」
「お菓子ってね、難しいのよ」
 そのうえでこう述べた。
「何かと。温度の調節や泡立て方とか」
「そうらしいですね」
 これは聞いたことがある。実際にやったわけではないので実感はないが。
「後はね」
「はい」
「砂糖とかの量も。卵とかかなり使うしね」
「色々使うんですね」
「一番大変なのがアイスクリームなのよ」
 どうやら彼女はそれも作れるらしい。かなりのものであるのがわかる。
「お砂糖と卵とミルクを凄い使うから。それ作ってたら太るのもわかるわ」
「アイスクリームって確かに太りますよね」
「あとジェラートも」
「僕あれも好きで」
「潤一君ってお菓子好きなのね、本当に」
「ええ、まあ」
 その通りである。否定はしなかった。
「けれど洋香さんのは特に」
「ふふ、有り難う」
「何か最近ここに来たら甘い匂いがして」
「お菓子の匂いね」
「はい。何か来るのが楽しいです」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。実はお菓子作っても食べてくれる人がいなかったのよ」
「そうだったんですか」
「お父さんとお母さんだけ。けれどそれじゃ
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