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Act_2 《オレンジ》
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──第55層主街区《グランザム》

その鉄の都市に、大きく聳え立つ建築物があった
入口には訪ねて来た者を威圧するような騎士たちの石造
街を一望できるような見張り台まで付いた、途轍もなく威圧的な西洋の城

此処は《血盟騎士団》のギルド本部
嘗て、己も片足を突っ込んでいたギルドの居城を見つめて、フードの男は溜息を吐いた

団長であり、フレンドでもあるヒースクリフからの突然の招集

──断るつもりではあった

本来であれば、この場所に近付きたくも無いのだ
嫌な思い出だけが蘇り、気付けば顔がしかめっ面になる程、この場所は苦手だ
だが、《74層》の攻略が控えている現状、輪を乱す事だけは避けたかった

『これはゲーム』

『だからこそ、《規律》は重んじる』

自分に科した規律を胸に、フードの男はその巨大な扉──会議室の扉を叩く

「入りたまえ」

中から耳に届く、低音の声
ヒースクリフのものとは違う声に、男は二度目の溜息を吐いた
ギルド例会、と言う名の弾圧的な雰囲気
幹部"もどき"が我が物顔でこの居城に居座り、偉そうに腕を組んで男を待つ姿が、
楽に想像出来る

──だから、嫌だった……

友人からの召集と言う事で、本当に、嫌々足を運んだだけだったのだ
それが、まさか、こんな威圧的な場に呼ばれるとは思いもしなかった

「失礼する」

いつもの通り、抑揚のない声が会議室に響く
その空気に──純白の世界に相応しくない、薄汚れた色が入り込んだ

顔を隠すボロ頭巾のようなフード
身体を覆う、ボロ布と見紛う程に薄汚れた漆黒のマント
まるで魔女のようだ、と
部屋の中で誰かが思い浮かべた
その得体の知れない雰囲気と不気味な程の抑揚の無さ
"生きている"のか"死んでいる"のかも分からないような、人間の出来損ない

「フードを」

促すように、ヒースクリフの傍にかけていた男が異色を誇る者へと目を向ける
男は、一瞬渋ったが、観念したようにボロ雑巾のようなフードに、手をかけた

少し薄めの、金色の髪
東洋よりも、西洋人に近しい顔立ち
何よりも目立つのは、その右目を覆う──《眼帯》だ

「久しいな、"オレンジ"」

《オレンジ》──
それは、このSAOにおける《プレイヤーキラー》に対する侮蔑の言葉だ
プレイヤーを一度でも"キル"したことのある者は、そのネームがオレンジに染まる
その俗称を、この場に現れた男に向けて、会議室に座る男が言い放った

全身をフルプレートで覆う騎士だ
得物はコンバートしていないのであろう、一切目視は出来ない
どうせ"タンク"のような前衛職に違いない
この世界で騎士のようなナリをしている者は、臆病者か阿呆のどちらかだからだ

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